クルシャの過去
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ー東土❬鬼族の里❭ー
「今日来るんでしょ?❬デーラ❭様」
「あぁそうだぞ、❬クルシャ❭」
今日はここ❬鬼族の里❭に、英雄と讃えられている冒険者❬デーラ❭様が来て、彼女自身の冒険話を聞かせに来る日だ。
里の皆もデーラ様が来るその時を、心待ちにしている。
「!!···おいクルシャ、あれデーラ様じゃないか?」
「ホントだ!デーラ様ー!」
私はこちらに歩いて来るデーラ様に、手を振る。
するとデーラ様も私に手を振る。
「やぁ!元気にしてたかい?クルシャちゃん」
「うん!」
「それは良いことだ、じゃあ···行こっか!」
私はデーラ様と手をつなぎ、街の広場に向かう。
広場には既に、子供達やその親達が集まっていた。
そこにいる皆の目的は同じ、デーラ様の冒険話を聞きに来たのだ。
「それじゃ、始めようか」
それから三時間程でデーラ様の冒険話は終わり、皆が解散した後に私は、デーラ様が宿泊している宿屋に忍び込み、デーラ様が居る部屋の前に行った。
「そこにいるのは、クルシャちゃんだね?」
「え!!??」
扉の前に居るのに誰かまで当てられた私は、驚いて、声が出てしまう。
「入って来な」
「は、はい···」
「で、何か用?」
「あの···えっと」
「?」
緊張して言葉が出てこない。
「どうしたら···冒険者になれますか?」
「そうだねぇ·····まず、クルシャちゃんがもっと大きくならないとダメだよね」
「ですね····ほ、他には··?」
「··うーん·····少し難しい事だけど、❬リスクを恐れず前にだけ進む❭···これが一番大事だね、あとは仲間さ」
「····リスクを恐れず前にだけ進む···」
「そうさ!」
ーその夜ー
私はお父さんに相談をする。
「なんだい?クルシャ」
「あの···私、冒険者になる!!」
「!!···本気なのかい?クルシャ」
「うん」
「クルシャ····ダメだ」
「え?」
「冒険者稼業っていうのは、とっても危険なお仕事なんだ、毎年冒険者が何百人と亡くなってるんだぞ·····お父さんはな··クルシャには、もっと❬安全で安定した仕事❭に就いて欲しいんだ」
「·····そ、そうだよね··」
確かにそうだ。
「そうだクルシャ、クルシャは鍛治屋の装備が好きだったな!隣国ある有名な❬鍛治ギルド❭に就職してみたらどうだ!お前なら楽しめるんじゃないか?」
「!!···た、楽しそう···かも」
「だろ?明日にでも見学しに行くか?」
「うん!」
ー翌日ー
❬鍛治屋ギルド❭
「へぇ、君がクルシャちゃん?」
「はい」
「あたしは❬ベルゼ❭ってんだ!今日はよろしくな!」
私達は挨拶を済ませ、鍛治屋ギルドの奥まで歩いて行く。
「ここが私の仕事場だ」
「凄い···私の知ってる鍛治屋の仕事場より、何倍も広い··!」
「だろ?」
「はい!」
「少し、私の仕事を見せてやるよ」
そう言うとベルゼは、一本の剣を作り始める。
ベルゼの金槌で叩かれた鉄塊はみるみる形を変え、剣の形に変わる。
それから約15分で剣は完成した。
「······綺麗」
「だろ?···クルシャちゃん、君も剣を一本作ってみな!」
「えぇ!?い、今から!?」
「大丈夫だよ、この私が教えてやっからよ!」
私はベルゼに剣の作り方を教えてもらい、剣を作る作業に入る。
ー一時間後ー
「·····ここまで出来たら、魔力を込めて叩く」
「····」
「こんな感じで、完成!」
「(なるほど、あまり武具を作るのには向いて無いみたいだな·····もしかすると)」
ベルゼが私にボロボロの鎧を渡す。
「これは?」
「次はこれを修理してみな、私は何も教えないがね」
「えぇぇ!?」
「(私の目が間違ってなければ····きっと)」




