炎
あれからどれ程の時間が流れたのだろう、私はこの白い世界を全て見終わってしまった。
そして、手がかりになるものは一つもなかった。
「···人と···会いたいな····無理か···」
私は近くの木の根元で座り込んで、白い空を見上げていた。
ここ最近は、何かの感情が湧くこともなく、ただ
この白い景色を見ている。
「まだ、気が狂わないだけマシか·····」
クルシャと当たり前のように会話できていたあの時を愛おしく感じる。
「流石は神の試練といったところか······」
私は立ち上がり、少し歩いた。
もう見飽きた白い街を、ただただ何の目的もなく
歩く。
白くて何も無い街並みの中を歩く、そして街の裏の山にある展望台に登り、またそこで座り込んで
街を眺める。
「··················」
ただ白くて何も無い景色を眺める。
「クルシャは今頃、どうしてるんだろうか···」
クルシャが同じ内容の試練かは知らないが、少し気になる。
「アンリは···メルティア王も···ベルゼも···今頃···どうしてるんだろうな」
考えても何もわからない、脳があまり動かない。
「····························」
ふと横の壁を見ると、何か文字が書いてあった。
私は、この世界で初めての文字を読む。
「異国の言葉か?」
私は少しずつ解読していく。
「こ··の···世界···は···お前の世界····が破滅···した··時··の光景····であり···これは···避けられぬ···運命···だ···異人の···救済···の思いが····世界を···歪める······その歪な···力は··あの化け物···の蓄え···となる····お前が救い···たいと思う···なら··この世界もヤツの力も········焼き···払ってくれ」
思わず驚く。
「誰かが、この世界に来ていた···のか?」
私だけがいると思っていたが、どうやら前に誰かが存在していたようだ。
「この世界が私の世界の、滅んだ姿···?」
この文章を書いた者は、私がここに来る事を予想し、私の世界の破滅の預言を残した。
「焼き払ってくれ?·····」
もしかするとこの文章を残した人物は、誰かに滅ぶ運命にある世界を救って欲しかったのかもしれない。
「········私が、その願いを叶えてやれれば良いのだがな····しかし···焼き払うなんて不可能だと思うんだが··」
この世界では何故か、スキルが使えないし、何かを作る事も出来ないのだ。
「待てよ?····モノは試しで、やってみるか」
昔、帝国の大図書館で読んだ事のある本の一部を思い出す。
『悲しみと願いを強く、ひたすらに強く自分の心に持つ時、己の炎が邪を焼き払う』
「悲しみと、願い······」
私は、全ての理不尽や悲しい事、虚無感や後悔、
そして、私の願いを強く思う、すると涙が溢れてきた。
「世界は、壊滅的だ···ただ·····私は····不可能でも···強く願いたい····叶えたい····ただの純粋な笑顔を····守り続ける···幻想を···いつか現実にすることを···!!」
涙が溢れて止まらない、こぼれた涙が地面に落ちる。
すると····私の足元に暖かい熱を感じた。
「!·······炎が····灯った······」




