特殊な魔法
私達は元の目的である、装備調達をするためにベルゼに依頼をする。
「私の作る装備は少々値が張るが、良いか?」
「あぁ、ちなみにいくらだ?」
「えーと、装備一式を二人分なら800万ぐらいか」
「!」
私達の手持ちは、魔王から貰った600万ゴールドしかない···あと200万足りない。
「どうするクルシャ?」
「···全身揃えるのは諦めるしかない」
「じゃあ、どの部分を作ろうか?」
私とクルシャが話合った結果、私は胴鎧と肩鎧と腰鎧と膝当てを、クルシャは❬鬼族❭専用頭鎧と胴鎧と腕鎧と足鎧を購入した。
「随分、良い鎧を作るんだな」
「へへ、まぁな」
私達がその装備に感動していると、ベルゼが何かローブのような物を棚から取り出した。
「ほら、これタダでやるよ」
そのローブは、普通に買うとかなり値が張る❬対衝撃のローブ❭だ。
効果は文字通りにあらゆる衝撃を緩和してくれる優秀な装備だ。
「いやいや、こんな高価な物はタダでは貰えない」
「いいんだよ、私がそういう気分なんだからよ!持ってけ!」
「ほ、本当に良いんだろうか?」
「アンタらみたいなヤツらが、変な所で死んでもらっても目覚めが悪いからな」
「そうか···感謝する!」
私達は早速購入した防具を身に付け、西の❬聖水の滝❭へ向かうのであった。
「おいメア、❬聖水の滝❭に行く前にアポカリプスの所に行った方が良いんじゃないか?」
「それもそうだな、とりあえずミラトに行ってナウディアに会うか」
「呼んだかしら?」
気付くと後ろにナウディアがいた。
「うわっ!?何でここに?」
「いや···アポカリプスからアナタ達を迎えに行ってくれないかって、頼まれたの··」
「ナウディアとあのアポカリプスが知り合いだなんてな···」
「人間から見たら珍しく聞こえるかも知れないわね···ちなみに、アポカリプスは私より年下なのよ···」
「?··じゃあアンタは今、確実に1億歳以上は行っt·····」
クルシャが年齢の話をすると、ナウディアがクルシャの頭鎧の口の辺りに指を当てる。
「ダメよ···女性の歳の話をするのは····そんな事より早く魔王城に行くわよ」
そう言うとナウディアは、人気の無い場所に魔王城に繋がる❬ゲート❭を開く。
「さぁ···私に掴まっていて頂戴ね···」
「あぁ」
「おう」
私達はナウディアの身体に掴まり、魔王城への❬ゲート❭へ入った。
相変わらず、この空間の中の景色は凄まじいモノだった。
「さぁ、着いたわ···アナタ達は前に挨拶をした部屋へ向かいなさい···二人だけで行けるわね?」
「あぁ、問題ない」
私達は魔王城の複雑な道を歩いて、何とか魔王の玉座の間へ着いた。
私達二人で重い扉を開き、魔王の下へ歩く。
「やぁ、二人共!あれから調子はどうだい?」
「まぁまぁといった感じだ」
「そうかい、それは何よりだ···それでアポカリプス君から話を聞いたんだけど、二人には特殊な魔法を憶えて貰うよ」
「特殊な魔法?」
「そうさ!この特殊な魔法っていうのは私も使ってる魔法なんだけど、一般の魔法とは性能が桁違いに高いんだ、この魔法は今だとここ❬魔界❭の住民くらいしか使えないし知らないんだ、もちろん例外も居るけどね」
「!?···ここが魔界!?」
「そうだよ、今気付いたのかい?」
❬魔界❭とは、私達がいたミラトから見ると丁度、真逆にある世界で二番目に大きい大陸だ。
ちなみに❬魔界❭は他の大陸で全ての悪の元凶と言われている。
「そんな事、今はどうでも良くて···それより魔法の話!」
「そ、そうだった話を詰まらせてしまって申し訳ない」
「大丈夫だよ!それでね、君達は今から❬聖水の滝❭に行くんだよね?」
何故その事を知っているのか疑問だが、この際はどうでもいい。
「あぁそうだ」
「そこの滝を守ってる光の神にさっき話した特殊な魔法の事を話せば、神の試練を受けさせて貰えると思うから、それを達成したらどんな力か分かると思うよ」
「試練か、分かった行ってみよう···クルシャも来るか?」
そんな質問をしたら、クルシャに睨まれた。
「ここまで一緒に来て、行かないなんて言うかよ?」
「クルシャなら言わないな··」
「そうだろ?だから私も行くよ」
「(仲良いなぁ)」
魔王がこちらを見て微笑んでいる。
「?··どうかしたのか?」
「いや、なんでも?」
「そうか」
私達はその特殊な魔法の取得と私の傷の回復のために❬聖水の滝❭へ足を運ぶのであった。
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