東の大鉱山『3』
私達は鍛治屋と思われる人物に加勢した。
「おいアンタ!私達が加勢するぞ」
その人物はクルシャを見ると少し驚き、こちらに声を掛ける。
「あぁ、頼む!」
私達は三人で、巨大な❬デーモン❭に立ち向かった。
『グオォォォォ!!!!』
❬デーモン❭が咆哮を上げ、私達に向けて巨大な手を振り下ろす。
私達は後ろへ大きく飛び、攻撃を回避する。
直後、私達がいた場所がデーモンの巨大な身体から放たれた重い一撃により粉々になる。
「あれは喰らったら一発でアウトだな」
まだ装備も満足に揃えられていない私達では、喰らったら致命傷は避けられないだろう。
『ゴアァァァァァッ!!』
デーモンが口にエネルギーを溜め始めた。
一気にカタをつけるつもりなのだろう。
私達はそれぞれ防御スキルを発動し、攻撃に備える。
「❬多重結界❭!」
「❬アイスシールド❭!」
「❬岩壁❭!」
デーモンの口から、熱線が放たれる。
「ぐぅぅっ!」
「くっ、耐えろーーー!!」
あまりの高温に、私の頭鎧の一部が溶けて中に熱気が入り込んで来た。
顔の一部が焼けるのが分かる、これ以上この攻撃を耐えると私の身体が持たないだろう。
「攻撃を逸らすぞ!」
私達はゆっくりと攻撃を逸らす。
デーモンは攻撃を逸らされた事に気付き、標準を再び合わせようとするが、私達がバラバラな方向に走っていたので、熱線の攻撃は諦めて背中から岩石を飛ばし降らせて来た。
「❬流水斬撃❭!」
鍛治屋らしき人物がスキルを発動し、デーモンに向かって走り出す。
その人物の太刀と手足が水を纏う、走った場所に流水の軌跡ができる。
『ガァァ!!』
デーモンは巨大な腕でその人物を襲う、しかしその人物は降ってくる無数の岩石とデーモンの攻撃を回避しデーモンの腕に飛び乗り、太刀を振る。
「はぁっ!!」
その一撃で、転生者の一撃も通さない硬い堅殻を破り、肉を切り裂く。
『グオォォォォ!!??』
デーモンは初めての痛みに思わず声をあげる。
「私達もこのチャンスに乗るぞ!」
「おう!行くぜ!」
私達もその人物に続き、デーモンの巨大な腕に飛び乗る。
「❬アイススピア❭!」
「❬エクスプロージョン❭!」
クルシャが大剣をデーモンに突き刺し、体内に向けて爆破魔法を唱える。
『グオォォォォォォォォォォ!!!???』
体内で爆破した事で、堅い外殻に亀裂が入る。
そこに私の氷の槍を撃ち込んで、その氷の槍を爆発させる。
デーモンの堅い殻は殆ど壊れてしまった。
そこにその人物がトドメを刺す。
「❬菊一文字·流水❭!!」
そのスキルで巨大なデーモンの首を、一刀両断する。
デーモンは絶命し、マグマに沈んで行った。
すると、その人物がこちらを見て挨拶をする。
「手伝ってくれてありがとな!!」
「いえいえ」
「気にすんな····ところで人間違いだったら悪いが、アンタ帝国の鍛治屋か?」
「あぁそうだよ、もしかしてお客様かい?」
「アンタの店に行ったら空いてたんだよ」
すると鍛治屋はゲラゲラと笑った。
「いやぁ、まさかこんな危険地帯まで私を探しに来るなんて、そりゃあ迷惑かけちまったな!」
すると、鍛治屋は私の頭鎧を見て急に焦る。
「おいおい、アンタ!頭鎧に一部穴が空いてんじゃねーかよ!」
「ん?あぁ、さっきの熱線で少し顔を焼かれてしまってな」
「それ、放っておくとかなり不味いぞ!普通の方法じゃ治らないし!」
鍛治屋は少しだけ何かを考え、また話し始める。
「ここから少し先に私の故郷がある、そこにある特別な薬草があるから、このお礼も兼ねて連れてってやるよ!」
「良いのか?すまないな···」
「おら!速く行くぞ!」
こうして私達は、私の傷を治すために鍛治屋の故郷へ向かうのであった。
この時、既に私達は冒険者登録試験の結果発表に行けていないため、無事に失格となったのであった。
↓に評価ボタンがあるので、良ければ評価お願いします!