東の大鉱山
メルティア王は走って来るなり、私に抱きついて泣き始める。
「すまん、メアよ···この私が···無力なばかりに··お主を···こんな目に··恨んでくれ」
メルティア王のせいで私が追放されたワケではない。
先代の王が『転生者に危害を加える者は死罪、もしくは、地位剥奪と国外追放』という法を作り、この法は王の代が変わっても、変える事が出来ないようにしたからなのだ。
「メルティア王は何も悪くないです、追放されても私はこうして仲間も出来ましたし、むしろこの状況を楽しませて頂いてます····だから、その涙をお拭いください」
「そ、そうか?···じゃがお主は、色々な面でかなり不便なんじゃ···ないのか?···」
金銭面や、装備面等の事だろうか。
「確かに不便はあります、ですが私はこんな生活をどこか気に入ってるんです、本当にメルティア王は何も悪くないです」
そう言うと私は、ハンカチを取り出しメルティア
王に渡す。
メルティア王はハンカチを受け取り、涙を拭いた。
「すまんな···取り乱してしまった··」
「いえ、大丈夫ですよ」
するとメルティア王は、護衛が持ってきていた革袋を下ろさせ、私の前に置いた。
「これは?」
「お主らへの贈り物じゃ!」
「こ、こんなに沢山!?」
「まだまだじゃ···こっちの袋が、冒険に役立つだろうアイテム達じゃ」
「こ、こんなに···ありがとうございます!」
「なんの、お主には迷惑を掛けたからな、これくらいは当然じゃい!」
メルティア王は私達に笑ってみせる。
その姿は、以前より少し大きく私の目に映るのであった。
するとクルシャが、何か思い出したように私に声を掛けてきた。
「そういえば、お前に頼まれてた装備品が買えなかったんだった」
「まさか、鍛治屋の店主が店を空けてたのか?」
「そうなんだよ···ここで来るのを待つか?」
「うーむ···」
私が悩んでいると、メルティア王が私達に話し掛ける。
「あの鍛治屋なら、今頃は東の大鉱山にでもおるのではないか?」
「やはり東の大鉱山か···」
「一応行ってみるか?」
東の大鉱山は、飛竜の巣が大量にある事で有名だ。
装備が揃っていない今、あそこに行くのは少々危険だ。
しかし待っていても、その間に狂化した転生者による被害が増えてしまうかもしれない。
「よし!少々危険だが早く装備を整えるために、東の大鉱山に向かって鍛治屋を連れ戻そう」
「うむ、お主ら気を付けて行くんじゃぞ」
こうして、私達はメルティア王達と別れ、❬飛竜の山❭と呼ばれる、東の大鉱山へ向かうのであった。
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