国王とクルシャ、そして再開
❬クルシャ視点❭
私が帝国に入ると街の中心から大きな喧騒が聞こえて来た。
「何かやけに騒がしいな」
よく見ると周りの国民達は派手な衣装に身を包み、ある者は踊り、またある者は酒を飲み、ある者は楽器で演奏をする。
「そこのアンタ、今ここは祭でもやってんのか?」
私は近くにいた国民に話を聞く。
「おや?知らないんですか?今日は帝国の国立記念日と国王様の誕生日なんですよ!」
「どうりで、周りの奴等もお祭気分なワケだ」
私は街の喧騒の中を歩き、目的の鍛治屋を探す。
だが、周りは祭気分の国民達であまり歩ける場所がなかった。
「クソッ、人が多すぎる···」
すると誰かが、私の肩を叩く。
「あ?誰だ」
「私よ、ナウディアよ···」
「おわっ!どこから湧いてきやがった?」
「実は私、この国の王様と少し仲が良いの···誕生日だから来てくれって手紙を貰ったから来てみたのよ」
「いや、ナウディア···今、上から来なかったか??」
「そこの防壁の上に座って見てたのよ、アナタも来る?」
「い、いや私は用事があるから遠慮するぜ」
「あらそう?··用事って何か探してるのかしら?」
私はナウディアに用事の内容を簡単に説明した。
「へぇ、防具を買いに来たのね···でも」
「?」
「あの鍛治屋は、しょっちゅう店を空けて鉱石採取に出掛けてるから···今日はいるかしらね?」
「一応見てくる」
「そうね···行ってらっしゃい」
私はナウディアに見送られ、加治屋に向かう。
人ごみをかき分けて進んでいると、鍛治屋らしき建物が見えてきた。
「あれか」
建物に近づくと木製の看板が立ててあった、その看板にはこう書かれていた。
『只今鉱石採取に出掛けているので、御用のあるお客様は後日お立ち寄り下さいませ。 店主より』
「クソッ、案の定かよ····」
少し予想はできていたが、やはりここの店主は居なかった。
「まさか、手ぶらで帰る事になるなんてな···」
私が少し落ち込んでいると、後ろで国民達がひときわ大きな喝采をあげ始めた。
「な、なんだ?」
「アンタもっと前で見てみろよ!」
「何だ?なんかあんのかよ?」
「今ちょうど国王様がここを馬車で通ってらっしゃるんだよ!」
そう言われると私は、国民達に最前列まで押された。
するとそこには、豪華な服装に身を包んだ兵士や楽団などがひときわ目立つ馬車を取り囲み、中の王らしき少女が国民達に手を振りながら、街を回っていた。
「珍しいな、あんな魔導学園の低学年みたいな少女がこの国の王だなんてな」
私がそんな感想を呟いていると、馬車に乗っている王が私の方を見る、すると馬車の扉が勢いよく開き中から王が私に向かい、走って来た。
「お···お主··その腰に下げておる剣は·····」
「ん?これか、なんか私の仲間が身に付けておけって言うもんだから、今借りてるんだよ」
その王は息を切らしながら、私に質問をしてきた。
「そ、その剣の主は···その者の名を聞いてよいか?···」
「あぁ構わないぞ、❬メア❭って言うヤツだ」
すると王は涙を流しながら、話し始める。
「生きていたか····本当に···良かった····」
「(そういえばこの王がメアを追放したんだったな)」
王は涙をぬぐい、私に話し掛ける。
「クルシャとやらよ、メアに会ったらコレを渡しておいてくれるか?」
そう言うと王は、亜空間を平然と開き大きい革袋を取り出す。
「これは?」
「冒険に役立つアイテムじゃ」
「結構、量があるな···」
すると王が部下に命令をし、一台の馬車を呼んだ。
「これに積んで行くが良いのじゃ」
「いや、馬車がいる程の距離じゃないから大丈夫だぞ?」
すると王の目がキラキラと輝いた。
「国民達よ!パレード中に悪いが、急用が入った!パレードはまた明日とする」
「おいおい、そんな事を急に言ったら国民達に、不満が溜まるんじゃないか?」
だが私の予想は大きく外れ、国民達は全員が不満を溜めるどころか、喜んでいた。
その理由は何となく予想がついた。
「(この王がメアに会いたがってるのを、前から国民が知っているんだろうな···国民との良い関係だな)」
「クルシャとやら!私も少し着いていっても構わんか?」
「あぁ、構わないぜ」
パレードは中断され、私と王とその護衛達は荷物を持ち、メアのいる場所へ向かう。
❬メア視点❭
何やら帝国からは賑やかな音が聞こえてきた。
今頃は、王様が街を回っている頃だろう。
「私が追放されてなければ、今頃はあの場に·····」
グサッ
「羨ましいなぁ···」
グサグサッ
「王様は今頃元気にしてらっしゃるだろうか?」
ズバッ
「ぐはっ···」
隣でアンリが急に吐血する振りをする。
「騎士長···もしかして本当は怒ってます?」
「ん?あぁ、まさか今の独り言で傷つけてしまったか?」
そんな会話をしていると、遠くからクルシャが
歩いて来ていた。
「む?クルシャ以外にも誰か来ているな、誰だろうか?」
よく目を凝らし、クルシャの周りにいる人物を確かめる。
「···お、王···?」
するとその王らしき人物がこちらに走って来る。
「メアーーー!!私じゃー!!」
間違いない、あれは我が王❬メルティア❭だ!
王様との再開です




