騎士長との思い出
私は前に出てきた❬魔狼❭を数匹盾で叩き潰して、もう一度❬護兵結界❭を発動する。
「私が皆を護るんだ!」
❬護兵結界❭は先程よりも強度を増し、❬魔狼❭の群れの猛攻を防ぐ。
帝国騎士団がここにたどり着くまで後少しだろう。
「それまでここは、絶対に通さない!」
それから、10分経った時。
帝国騎士団の騎士が一人だけ駆けつけた。
「(な、なんで一人だけ!?!?)」
すると、その騎士が私に声を掛ける。
「遅れてすまない、よくぞここまで耐え抜いてくれた!」
そう言うとその騎士は、剣を抜いて群れに突っ込んだ。
「なんて綺麗な剣捌きなんだ····」
その騎士の戦闘はもはや芸術の域に達していた。
その騎士の動き、剣捌き、斬られた敵の血飛沫の一つ一つに思わず目が向き、ただ美しいと感じる。
これに魅せられ、私はこの瞬間に心の底から帝国騎士団に入団したいと思い、この人の隣に立てる人物になりたいと強く願った。
戦闘は一瞬で終わり、周りにはやっと斬られた事に気付いて倒れる❬魔狼❭達があった。
「あ、あの···」
「む?どうした?」
私は勇気を振り絞り、その騎士に名前を聞く。
「あなたのお名前を聞いても良いですか?」
するとその騎士は少し考えて、口を開く。
「話しを遮って悪いが、君は帝国騎士団に来る気は無いか?」
「!···はい」
「それは嬉しい、早速だが今度君が試験を受ける時に、試験官にこれを渡してくれ」
そうすると、その騎士は懐から縦にくるんである手紙のような物を、私に手渡す。
「こ、これは?」
「この私、❬帝国騎士団騎士長メア❭の推薦状だ。では、私は忙しいので失礼させて貰う」
そう言って❬メア❭と名乗った人物は走り去って行った。
「···メアさんか···あれが私の目指す高みか···頑張ろう!」
それから3年間の間に私は、ひたすら特訓と実戦を繰り返して帝国騎士団入団試験を受け、見事に合格する事が出来た。
ちなみに···騎士長から頂いた推薦状を当日に忘れ、入団初日から私は騎士長に二つの意味で目を付けられるのであった。
「···おい」
「おい!」
「おい流石にもう起きろアンリ!」
急に聞き憶えのある声がする。
私は目を覚ます。
すると、目の前に何故か騎士長がいた。
「ん?あれ?私は騎士長に追っ掛けられていたんじゃ?···」
「まったく、いったい何の夢を見ていたんだか」
「あ~、夢だったんですね」
「えらい良い顔で寝てたが、どんな夢を見たんだ?」
「フフ、騎士団入団前の夢でしたね」
「というか早く私の膝から離れろ、足が痺れる」
いつの間にか、私は騎士長の膝枕で眠っていたようだ。
「いや~スミマセン、騎士長の膝枕が快適でつい···」
「そうか」
「ってアレ?クルシャさんはどこへ?」
「あぁ、クルシャなら帝国に入って行ったぞ」
「おぉ、クルシャさんは運が良いですねぇ、今日は帝国の開国記念のパレードがやってるんですよ!王さまも馬車に乗って街を回るみたいですね」
「国王様か、いつか会える日が来れば良いのにな······」
「(····ニヤッ)」
私は黄昏ている騎士長の背後に近づき、その痺れた足を軽く小突く。
「!?!?!?!?ぐぁぁぁぁぁぁぁ!?」
騎士長が草原を転げながら悶絶する、
それを笑う私、何故か私に魔法を詠唱する騎士長、私は久しく騎士団にいた時の騎士長との楽しかった日常を思い出し、久し振りに大笑いするのであった。
「待て!アンリそこを動くな!」
「ちょ、騎士長!魔法はだめでs···ぎゃぁぁぁぁぁぁ」
これでアンリの過去パートは終了です
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