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追放騎士メアの交響詩  作者: 白木 はる
11/42

魔王ミティス

-夜-


「お、おいメア···私はもう··」

「クルシャ!?···お、おい?しっかりしろ!·····ク、クルシャーーー!!!」


とうとうクルシャが眠気との闘いに敗れ、その場で眠りについてしまった。

全滅は時間の問題だ、早急に宿を見つけなくてはいけない。


「く、クソ···視界がぼやけてきた···」


私は眠りについたクルシャを担いで、フラフラになりながら夜の街を歩く、辺りはまだ国の住民達で賑わっていた。


「も、もう人気が無さそうな場所で寝ても良いか···む?あれは··」


街の一角に小さな薬屋があった。

だが、明らかにただの薬屋の雰囲気では無かった。


「あれは、ナウディアか?···」


私はその怪しい薬屋に立ち寄る。


「あら····あなた達じゃない··試験はどうだったかしら?」


そこにいたのは、やはりナウディアだった。


「試験は問題無かったぞ·····」

「それは良かったわね···それにしてもアナタ···随分と眠そうね」

「あ、あぁ···今にも倒れそうだ···」

「そうねぇ···今の時間帯はどこの宿屋も満室でしょうね···」


すると、ナウディアが何か思いついたような顔をして私に話し掛ける。


「そんなに眠いなら···今晩、私の家に泊めてあげるわ」

「!ほ、本当か?助かる」

「構わないわ··じゃあ、着いてらっしゃい···」

「あぁ、頼んだ」


私はナウディアに着いて行き、何やら怪しい道に入った。


「ほ、本当にこの先なのか···?」

「えぇ、そうよ」


怪しい道を真っ直ぐ歩いて行くと、正面に木製のドアが見える。


「ここよ···」


ナウディアがドアを開くと、そこには❬ゲート❭があった。


「こ、この先に家があるのか?」

「そうよ···じゃあ私に掴まって頂戴··」

「む?···分かった」


私がナウディアの着ている着物の袖を握る、

私が袖に掴まったことを確認すると、ナウディアが❬ゲート❭に入る。


「な、なんだこの空間は!?」


❬ゲート❭の中には、いくつもの時空の割れ目や、巨大な遺跡が浮遊していた。

中には、凍てついたモンスターの大群や、❬ニホン❭と記されている❬ゲート❭や❬天界❭、❬魔王城❭などと記されている❬ゲート❭があった。


「こ、この空間は本当に何なんだ!?」

「ふふふ···そのうち教えてあげるわ···そんな事より、もう家に着くわよ」


そう言うとナウディアは❬魔王城❭と記された、ゲートに入った。


ゲートの先は何と一つの広い部屋だった。


「ここが私の家···というより部屋よ」

「?···誰かと住んでいるのか?」

「えぇ、それはもう沢山ね···」

「そうか、というよりも···もう···限界··だ···」

「あら··寝ちゃったわ·····おやすみなさい」


-次の日-


「う··もう朝か?」

「そうだよ、早く起きろよ」

「二人とも、おはよう··」


私が目覚める頃には、クルシャが起きていた。

すると、ナウディアが私達に声を掛ける。


「二人とも、今日は二人に挨拶をして貰うわ··」

「む、そうだな昨日は挨拶もせずに寝てしまったからな」

「で、誰に挨拶したら良いんだよ?」

「ここ、魔界の主の❬魔王ミティス❭によ」

「!?」

「!?」


私達は魔王という言葉に驚き、剣を握ろうとする。


「大丈夫よ、ミティスは悪い人じゃないから」

「で、でも魔王だろう···」

「ていうか、呼び捨てなんかして大丈夫かよ?」

「あの人は、そんな事は気にしないわ··ほら、もう行くわよ」

「急に緊張してきたな」

「あ、あぁ···」


私達は緊張しながらナウディアに着いて行く。

部屋を出るとそこは長い廊下だった。

廊下を歩いていると、他の部屋の住人達も出てきた。

魔王城と言うだけあって、ミラトとは比べ物にならない程の種族がいた。

廊下を抜け複雑な道を歩いていると、巨大な扉が

目の前に現れる。

この先に魔王がいるのだろうか、明らかに異質な雰囲気が扉からでも伝わってきた、私達に更なる緊張が走る。


「じゃあ入るわよ···」

「ふぅ、緊張するな」

「皆、最初はそうなるわ···」


そう言うと、ナウディアがその巨大な扉を開く。


「魔王ミティス、昨日私が泊めてた人間を連れてきたわ···」

「うん知ってるよ、君達それぞれ自己紹介してくれるかな?」


魔界の主が私の予想と真逆の明るい雰囲気で話し掛けてきた。


(これが最強と謳われる魔王ミティスか···)


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