閑話4 渦巻くやっかみと柵と逆恨み
投稿ミスで「まさスラ」のネタが一時アップ状態でした。
大変失礼いたしました。
「一体どうなっておるのだ!」
ドリステンは声を荒げて机を叩いた。
「どうも、何某の魔術でも展開しているのか、騎士たちがあっさり無力化されております」
「なんと卑怯なッ!」
魔術師が魔法を展開することは実に当たり前の事であるのだが、ここにいる連中はサーレンがひどい卑怯者であると妄信していた。
「では、こうしてはいかがでしょう?」
ローブの男が手を挙げる。
王国騎士団に所属する男ではない。
仮面で顔を隠しているが、その図体からは元宮廷魔術師筆頭補佐の立場にいたコンロンであることは一目瞭然である。
平民嫌いのドリステンだが、サーレンの悪口をあることない事吹き込んで、貴族として立ち上がるべきだとたきつけたのはこのコンロンであった。
バカの筆頭と思われがちなコンロンではあるが、取り入りやすい相手を見つけ、取り入るその処世術はこの男を筆頭補佐まで押し上げた実績があった。
「どうするのだ?」
「宮廷魔術師長にも話を通し、サーレンが魔法で不正を働いているので、その確認のために魔法封印領域を用意するのです」
「それは何なのだ?」
「この魔法がかかった領域に足を踏み入れたものは一切の魔法が使えなくなります。サーレンがどんなに小細工をしようと、何もできなくなりますよ」
にやりと笑うが、仮面で顔が隠れて見えないコンロン。
だが、ドリステンも嬉しそうに笑う。
「そこで、腕の立つ騎士をぶつければ・・・」
「そうです! サーレンは得意の小細工が出来ずに、なすすべなく仕留めることが出来るでしょう!」
嬉しそうに笑うドリステンにコンロン。
「それでは軍部から選りすぐりの猛者を選び出さないとな!」
「僭越ながら私目をお選びおください」
そうドリステンに声をかけたのはロクデナ子爵家の長男、バガードアホゥであった。
「バガード、貴様に務まるのか?」
「お任せください。共としてヤツも連れてきます」
「おお! ロクデナ子爵家お抱えの『破城槌』か!」
ロクデナ子爵家が抱える騎士の一人に『破城槌』の二つ名を持つ豪の者がいた。
大きな体格を存分に振るい、戦場では百の兵士を一人で倒したと言われ、その力で城門を打ち破ったとこともある猛者である。
「であれば私目にもぜひ!」
「おお! タヨリナー子爵家の長子ボンボーンか!」
「ウチにも腕利きの騎士がおります。『双剣のカシム』が」
「よし! バガードにボンボーンよ! 貴様らに任せる! あのペテン師の皮を剥ぎ、クレイリア王女殿下の目を覚まさせて王国の安寧を取り戻すのだ!」
「「おおっ!!」」
ドリステンの掛け声に賛同するように声を上げる男達。
こんな男達がまだまだ多くいるのが王国の実情であった。
(ククク・・・それに万一こいつらが負けたとしても、魔法封印領域内にいる限りヤツは魔法が使えない! 仕留める算段はある! 魔法封印領域の中でも最上級の封印結界である<絶対魔法封印結界>を用意するべきだな・・・)
コンロンその仮面の下で暗い笑みを浮かべるのだった。
今後とも「おっさん魔術師」よろしくお願いします!
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