第17話 絶体絶命を見逃せるのか
感想欄で続きを期待されてしまいましたので連続投稿です(*^v^*)
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気味悪く笑う異形の者。その姿は全体に赤黒く、頭には2本の角が生えているのが見えた。その異形の存在は体と同じような赤黒い翼を羽ばたかせ宙に浮かんでいた。
「悪魔・・・か?」
国王がぼそりとつぶやく。
王都全体はともかく、王城にはある程度の魔法障壁が張り巡らされている。少なくとも宙に浮かぶ異形の者はその障壁を打ち破るだけの力があるという事であった。
「だが、偵察とはいえお前も間が悪い。私に『王宮騎士団』第三軍団長、姫騎士様までそろっているここに現れるとは」
ローズクォーツ伯爵は異形の者を前に不敵に笑った。
「はあ? お前ら雑魚がどれだけ集まっても雑魚は雑魚なんだよ! 蟻が何匹集まっても獅子を倒すことができるとでも思ってんのかぁ?」
ゲラゲラと異形の者は高笑いをしながら空中に留まり腕を組む。
宙に浮く敵に対峙しながら素早くローズクォーツ、ミランダ、クレイリアの三人が戦闘態勢に入った。
「愚かな、身の程を知るがいい! 炎よ集い荒れ狂え! 我が手より離れその真火を具現せよ!<火炎輪舞>!」
「ハッ! 両断してやるよっ! 『龍王剣術』<真空列牙>!」
「<雷撃強襲斬>!」
ローズクォーツ伯爵が猛火の帯を、『赤い閃光』ミランダが真空の斬撃を、姫騎士クレイリアが稲妻の一撃を放つ。
宙に浮く異形の者へ炎、真空の刃、稲妻の斬撃が直撃して凄まじい爆発が起こる。だが、
「フハハハハッ! ぬるいぬるいわぁぁぁ!!」
包まれた猛火を吹き飛ばし、真空の斬撃や雷撃を跳ね返した異形の者。
「なっ・・・!?」
ローズクォーツ伯爵は敵が三人の攻撃を受けてなお無傷な事に絶句する。
「ふははははっ! やはりしょせん雑魚は雑魚! この程度では我が肉体に傷一つつけることはできんなぁ」
腕を組みながら傲慢に笑う異形の存在。
「貴様・・・一体何者だ!」
ローズクォーツ伯爵の問いに異形の存在はにやりと笑う。
「我こそは魔王軍十二将軍が一人! 大悪魔グレゴリーとは俺のことよ!」
「な、なんだと!? 魔王軍だとっ!?」
「大悪魔・・・グレゴリー・・・」
国王、ローズクォーツ伯爵の顔色が蒼白になる。
「お前ら脆い人間風情が!吹き飛び焼け死ぬがいい! 爆炎よ!その身で捉えた敵を焼き尽くせ!<爆炎流>!!」
ローズクォーツ伯爵が放った<火炎輪舞>の炎の何十倍もある爆発的な火炎が津波のように襲い来る。
「ぐはっ!」
「がふっ!」
「ぐうっ!」
正面に立っていた三人はもとより、国王やその護衛たち、周りの兵士も大ダメージを受けて吹き飛ばされる。まさに圧倒的な猛火の一撃であった。
「脆い脆い脆い! かくも人間とは脆いものよ! こんな程度の連中に様子を見よとは参謀殿も腰抜けよなっ!」
宙に浮いたまま高笑いするグレゴリー。
「くっ・・・参謀・・・か」
剣を杖のごとく大地に刺し、かろうじてクレイリアが立ち上がる、ローズクォーツ伯爵もミランダも吹き飛ばされて意識がないようだ。国王たちも全員が倒れている。今戦える者は自分しかいない。なんとしても魔族を追い返し、皆を守らねばならない。その一心でクレイリアは立ち上がった。
「・・・一つだけ聞こう」
「なんだ、女。冥途の土産とやらに答えてやらんこともないぞ?」
「貴様は、魔王軍十二将軍とやらの第何席にいる?」
「ああ?」
「聞いている意味がわからんか? 貴様は魔王軍十二将軍の地位において下から数えて何番目だと聞いたのだ」
クレイリアは目を細めて薄く睨むと問いかけた。
「な、何だと貴様! 俺様が第十一席だからってバカにする気かぁ!」
激昂するグレゴリー。その目は憎悪に満ちてクレイリアを睨みつける。
(ふ、案外短気な悪魔だ。簡単に釣れたれたおかげでコヤツのランクが分かったが、コイツの力で下から二番目とは・・・魔王軍十二将軍・・・とてつもない戦力だ)
クレイリアは冷や汗が止まらなくなるのを感じる。
自分が、いや自分たちが手も足も出ないほど力の差がある敵将が12人もいる将軍位の中で、下から数えて二番目なのである。絶望的な戦力差を感じていた。
「・・・殺す!テメェは裸にひん剥いて犯しぬいてから手足をちぎって食らってやるわ!」
そう言うと背中から6本もの触手が生えてクレイリアに襲い掛かった。
ダメージで悲鳴を上げる体を突き動かし、大剣で2本の触手を切り落としたクレイリアだが、大剣を握る右手首を触手の1本に絡みつかれてしまった。
「しまったっ!」
「はっはー! これでテメェはもう終わりだ!」
触手で右腕をねじり上げると大剣を落としてしまったクレイリアを別の触手で殴りつける。
「がはっ!」
血を吐くクレイリアにかまわず手足を拘束し、中に持ち上げるとさらなる触手でクレイリアの身に着けている鎧を引きはがした。
「くっ・・・!」
「ファ~~~ッッハッハ! 睨んだところでテメェには何もできねぇんだよ!こうして裸にひん剥かれて無残にも犯されて手足を引きちぎられて食われちまう運命なのさぁ!」
愉悦に浸って奇声を上げながら笑う
民のために戦っていた自分がここで無残にも犯され食われ死ぬ・・・今まで歩んできた自分の人生が走馬灯のように脳裏によぎる。そして訪れる絶望。
「ぐうっ! ・・・くそぉ!」
何とか触手を振りほどけないか、残されたあらん限りの力を振り絞り手足を動かすクレイリア。だが、触手は固く手足をつかみ、外れることはなかった。
「さあ凌辱の時間だ! 姫騎士様の体を味合わせてもらおうかぁ」
恐るべき触手がクレイリアの目の前に姿を現した。
その触手を見たクレイリアは絶望の先にある絶対の恐怖に心を支配されてしまった。
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
常に民の盾となる厳粛な騎士であれ。
自分に言い聞かせて、自ら求める騎士の道を歩いて来たクレイリアは襲い来る絶対の死、凌辱の時間に一人の女性として心の底から恐怖の声を上げてしまった。
「ははは! いいぞいいぞ! お偉い姫騎士様もしょせんただの女だったか!」
げひゃひゃひゃと下品な笑いを響かせて愉悦に浸るグレゴリー。
「おーい、そう言うのはノクターンの方でやってくれないかねぇ?」
「はあ?」
今まさに触手でクレイリアを貫かんとしていたグレゴリーはあまりに場違いなとぼけた声に思わず疑問の声を漏らし、振り返った。
「だからぁ、そういうことは別の世界でやってくれませんかねぇ? 私の物語のベースは<ノクターン>じゃないんでね」
いつの間にかそこに現れて頭をぼりぼりと掻きながら欠伸までして訳のわからないことを宣うおっさん・・・。
先ほど吹き飛ばされて土嚢に突っ込んでいた、サーレン・マグデリアがつまらなそうな顔で佇んでいた。
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