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第16話 モブキャラにはモブキャラとしての矜持がある

更新の間が開いてしまい恐縮です。

ブックマーク追加、感想等誠にありがとうございます!

大変励みになります。

今後ともどうぞ応援の程よろしくお願いいたします。


王宮騎士団(ロイヤルガーデン)』第三軍団長、『赤い閃光』のミランダ・フェルトエンドが剣を構える。


「さあ、テイリーちゃんはもうお昼寝の時間だからお部屋にかえりましょうね~」


「ふおおっ!? えいゆーしゃんばいばいなのでしゅ!」


テイリー王女はターニア第三王妃に抱きかかえられて連れ戻されながらも力いっぱいこちらに手を振ってくる。

俺も軽く振り返しておこう。これから英雄らしからぬ状態になるのだ、テイリー王女たちが部屋に帰られるのは実に都合がいい。せめて子供には無様な姿を晒したくない・・・なんだか、いつもとちょっと違うな。普段ならだれに何を思われても気にしないはずなんだが。


「さあ、おたくの実力、アタイが確かめてやるよ!」


そう言うとミランダが腰に刺した双剣を抜き放つ。

少し腰を落として右手の剣を右肩の後ろに構え、左手で握る剣を右胴の後ろに構える。

おいおい、まるで両手で居合切りを放つかのような構えじゃないか。


「『龍王剣術(ドラゴンフォース)』奥義、<双龍閃牙>!」


圧倒的スピードで瞬時に目の前まで距離をつめる


胴の後ろに構えられていた左手の剣、肩の後ろに構えられていた右手の剣。

それらの剣がまるで抜刀術のように両手で引かれ、超高速で俺の目の前に迫る。

体幹に溜められたねじりの力を爆発させる神速の剣だ。

刹那の差で先に左手の剣が迫る。俺の体を切り上げ、次の瞬間、右手の剣が切り降ろすというわけだ。俺の体は見事にクロスにバラされるというわけだな。

龍王剣術(ドラゴンフォース)』奥義、<双龍閃牙>。まさしく二頭の竜の牙がそれぞれ敵の体を十字に切り裂く恐るべき絶技だな。


だが、さすがに模擬戦を意識してか、彼女の持つ両刃の双剣はこちらに刃を向けられず、剣の腹で俺を打ち抜こうとしているようだ。ここで俺を殺す気がないのはありがたいが、この剣速で殴られたら骨の1本や2本では済まないのだが、そこの配慮はないらしい。


ならば、物語のその他大勢、モブキャラ以下もいいところを演じる俺として見れば、見事に雑魚キャラを演じて散らねばならない。


刹那の差で早く俺の体に食い込もうとする左手から放たれる剣の切り上げに合わせて、風の魔法で空気の障壁を生成、それも固い壁のようなイメージではなく、弾力のある空気風船をイメージした空気の塊で防御。切り上げの角度に合わせた力の流れを逃がすように自分の足で地を蹴り、体全体を回転させる。追撃の右手切り降ろしの力をさらに体の回転を加速させる事により受け流す。だが、その力は完全に受け流すようなことはせず、後ろに吹っ飛ばされるだけの力をちゃんと受け止める。


そうすれば、いい感じで錐揉み回転しながら吹き飛ばされる俺様の出来上がりだ。


「もけけぴろぴろぉぉぉぉ~」


謎の雄叫びを上げながら訓練場の端に無造作に積まれていた木箱と土嚢に突っ込めば雑魚キャラ瞬殺の一丁上がりだ。いい仕事だ、ふっ。


「あ、あれ?」


技を放ったミランダが首を傾げる。


「ん~~~?」


ローズクォーツ伯爵は首を捻る。

技の直撃の瞬間、わずかにサーレンの魔力に揺らぎを感じた。

だが、わずかなそれではどうすることもできなかったようにも思う。


(だが・・・)


やはり何かがおかしい。


(どうやったかは知らないが、道化を演じてでも手の内を隠し通したいらしい)


ローズクォーツ伯爵薄く唇をゆがめて笑った。


「ふむ・・・さすがに純粋な剣士の突進を見切ることはできなんだか・・・さもありなん」


ラッセル宮廷魔術師長はが自慢の白いあごひげを撫でつけながら呟く。


(ラッセル翁は何もわかっておらぬようだ・・・)


クレイリアは先ほどから一言もしゃべらず、食い入るように模擬戦を見つめていた。まるでその一挙手一投足を見逃すまいとしているようでもあった。


(サーレン殿は確かに魔法を発動した・・・わずかな魔力の揺らぎがあった。だが、それで一体何をしたというのか・・・)


見ればすでに吹き飛ばされて木箱を壊し土嚢に埋もれているサーレンは起き上がってこない。まるで吹き飛ばされて気絶しましたと言わんばかりではないか。


(だが、この状況に違和感を持っている者は私だけではない。その証拠に・・・)


クレイリアは見事な技を放ってサーレンを吹き飛ばしたミランダを見つめる。見事に技を決めて勝ったはずのミランダがわずかに首を捻りながら自ら握る剣の刀身を見つめる。


(・・・きっと打ち抜いた際の感触にわずかな違和感があったのだろう。優れた剣士ほど相手の肉を打ち抜き、断ち切る感触に敏感なものだ)


だが、国王は現在の状態を見極めることはできなかったようだ。


「誰か、サーレン殿を医務室に連れて行ってやってくれんか?」


溜息を吐くような国王の声に兵士が2~3名吹き飛ばされたサーレンの方へ走り寄ろうとした。

だが、急に現れた異様な雰囲気を感じ取り兵士たちが立ち止まる。

クレイリアもサーレンに感じていた違和感とは別の、まさしくその存在自体が違和感の塊としか思えないような異形の存在が空にいきなり現れた。それも圧倒的に邪悪な気配を纏って。


「キィ~ッヒヒヒヒヒヒ! 人間ども最大の王国とか言ってやがったからどんな連中がいるのかと思えば・・・なんだ、雑魚ばかりか」


それはまさに宙に浮かぶ悪魔と呼ぶのがふさわしい異形の姿をした存在であった。


今後とも「おっさん魔術師」応援よろしくお願いします!

よろしければブックマークや評価よろしくお願い致します。

下の5つの☆を★にしていただくと、西園寺にエネルギーチャージできます(笑)

ホントに現在深刻なエネルギー不足に陥っておりますので、皆様の応援チェックを頂けるととてもうれしいですv(^0^)v

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[一言] ここで続くとはなんと悪魔的か! 続きを期待です(*´-`)
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