【400文字作文】Sweet revenge
待合せの時間は、とっくに過ぎていた。
遅くなってしまう。というメールを送って
五分後、いなかったらごめんね。というメー
ルが送られてきた。
彼女に限らず、オンナという生き物が放つ
シンプルな言葉はいつも、俺を緊張させる。
返信することを諦めた俺は、タクシーの運
転手に急ぐように言った。運転手がハイと、
返事をすると、料金メーターが上がった。
待ち合せたカフェの喫煙席に彼女はいた。
いろんな人から吐き出された白いタバコの煙
を避けるようにテーブルへ顔を伏せ、レシー
トの裏に何か書いていた。
遅れたことを謝りながらタバコをくわえよ
うとすると、彼女は食べかけのチョコレート
ムースをスプーンですくい、俺の口の中へちょ
っと乱暴に入れた。
俺は、和菓子のような彼女の唇の端を指で
拭い、何もついていない指を舐め、甘いけど
美味しいな。と言った。