光線銃
今でこそ当時よりはマシになったけれど、この宇宙で生活をしていれば、嫌が上でも死を感じながらではないと生きていけない。
死ぬことは怖いけれど、生きるためになにもしないのはもっと怖い。僕たちは、僕の両親は、生きるために戦っているんだ。
協同部隊の空母は、今は一つしか存在していない。今存在しているのは、僕の母親が乗り込んでいる革命軍が指揮する空母だけなんだ。以前はそれぞれの軍がそれぞれの空母を所有していたけれど、戦いの末に今の一つだけが残されている。あの日の戦いで連合軍は、残された最後の空母を潰すつもりでワープしてきていたんだ。
連合軍の艦隊からは、百を超える戦闘機が飛び出してきた。しかし革命軍の空母には強力なバリアが張られている。爆発の火花や煙は虚しく宇宙空間に漂うばかりだ。その衝撃さえ、空母の艦内には響かない。
しかし、バリアは完璧ではない。連合軍の艦隊には強力な光線銃が備わっている。その光線銃は、バリアを破る力を持っている。今では存在していないが、星を丸ごと一つ破壊する光線銃をも、連合軍は所持していたことがある。
バリアの一部が破られ、僕はそのときの事態を知った。僕たちの面倒を見ていた先生たちも同様だった。突然の衝撃に、その場のみんながパニックになった。僕を除いてね。
僕は両親の仕事を理解していた。乗っていた空母が攻撃されたのも、あの日が初めてじゃなかった。恐怖はあるけれど、それが日常でもあったんだ。パニックになんてなりえない。
保育学校の先生も、入れ替わりが激しい。僕のようには経験が豊富じゃない。ちょっとのことですぐ、騒ぎ立てるんだよ。