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スペースセンチュリープライマリースクール  作者: 林 広正
第一章 四人の出会い
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カオン

 アピナのスイッチは、いつだって転校生の登校日から始まるんだ。

 新しい転校生は、革命軍に新たに所属をしたバーバーリのトウッカ族の息子だった。バーバーリの他の部族は以前から革命軍に所属をしていたんだけれど、トウッカ族だけが拒否し続けていたそうなんだ。その理由は、自らの立場を得るためだったようだ。革命軍に所属する条件として、共同部隊での地位を求めたんだ。革命軍側はそれなりの地位を用意したけれど、トウッカ族は本拠地であるヴェシに幹部を送り込むことを望んだんだ。そして用意された立場が副指揮官だよ。その転校生は、副指揮官の息子ってわけだ。名前はカオン。その見た目は、地球人によく似ている。ただ、肌の色が青く、耳が頭の上についていて、一本の角が生えている。そして男だけに、長い尻尾が生えている。

 カオンは挨拶で、革命軍は生まれ変わらなければいけない。連合軍をやっつけるのは今しかないんだ。そんなことを叫んでいた。

 まぁ、よくある挨拶なんだ。自己主張をするのにはもってのこいの場所なんだけれど、つまらない挨拶が多くて参るよな。

 あんな挨拶に意味なんてないし、反応する奴はいないんだよ。通常ではね。まぁ、通常じゃない奴を僕は知っているんだけどさ。

 あいつの尻尾を切ってこいと、アピナが言ったそうだ。当然、従うはずはない。けれどアピナは、簡単には許さない。カオンの前で、半魚族がお前の尻尾を狙っているぞと言ったんだよ。

 カオンはその言葉を真に受け、そいつはどこにいる! 怒りのままにトゥーリの前に立ちはだかった。

 俺はそんなこと言ってないぞ。トゥーリは冷静に、そう言った。尻尾を切るなんて、痛いだろ?

 なに言ってやがる。俺の尻尾は、第二の命だ。その意味も知らずに切ろうとしたのか?

 だから言っているだろ? 俺にそんなつもりはないよ。正直、興味がないんだ。

 まぁいいだろう。特別に俺の尻尾の力を見せてやる。

 噛み合わない会話の中、カオンはそう言いながら、自ら尻尾を掴み、引き抜いた。


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