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スペースセンチュリープライマリースクール  作者: 林 広正
第一章 四人の出会い
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異性間交際

 半魚族との異性間交際は禁止され、犯せば死刑も免れない。根も葉もない噂だよ。トゥーリだって、そんな噂は信じていなかった。なんせトゥーリは新興軍のお偉いさんの家で暮らしている。噂が広まった原因はトゥーリがこの街で暮らすようになってから発生している。トゥーリはそれが嘘だということを、そのお偉いさんから聞かされていたはずなんだよ。

 けれどトゥーリは、敢えてアピナの言うことに従った。その理由は、ミカを守るためだよ。噂通りに死刑にはならなくとも、半魚族の異性に恋をした人間の存在は、この星では好奇の目に晒されることになる。学校内のいじめで済めばいいけれど、大人たちから非難を受けることもある。地上人からだけの非難では収まらず、半魚族から怒りを買ってしまったら大ごとに発展する。トゥーリはそれを一番心配していたそうなんだ。

 あなたもバカなの? ミカがトゥーリにそう言った。

 そうだけど、それのなにが悪いんだ?

 トゥーリは真顔でそう答えた。

 俺はバカが好きなんだ。ここのみんなはバカだから、大好きなんだよ。

 なんだよそれって、僕たち三人は揃って同じ表情を浮かべたよ。

 確かにそうよね。この二人はバカだもの。ミカがそう言うと、トゥーリは笑う。そうなんだよ。みんな、凄くいい奴だよ。

 その後ミカは、アピナの言葉なんて気にすることはないと言ったんだ。アピナの言うことを聞いても意味がない。普通にしていればいいんだ。誰が誰と仲良くしていても、この世界では誰も気にしない。中途半端な噂は、やがて消えていく。そんな感じのことを続けて言った。

 けれどトゥーリはその後も、アピナの言い成りを続けていた。どうしてなんだよと聞くと、アピナもバカだからね、なんて言いながら笑っていた。

 トゥーリ自身が楽しんでいるならそれでいいと、僕たちは感じていた。当初はまだ、アピナの命令は可愛いものだったんだよ。なにかを買ってこいとか、宿題を代わりにやれとかさ。けれどアピナは大馬鹿だから、すぐに調子に乗るんだよな。


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