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スペースセンチュリープライマリースクール  作者: 林 広正
第一章 四人の出会い
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擬態

 けれど当然、黙ったまま見過ごすわけにはいかない。僕はモネーに、アピナを監視してくれないかと頼んだんだ。僕も一緒にって最初は思ったけれど、アピナは僕の前では警戒する。それに、以前は知らなかったけれど、モネーには特殊な能力があるんだ。アピナはそれを知らない。利用するのはいいことだって思ったんだ。

 その能力は、アラストン人の中でも一部の地域の住人だけが持っているそうだ。宇宙全般には知れ渡っていないよ。今はまだ、ね。

 タッケーに移住をしたアラストン人だけど、その環境に適応することは簡単ではない。いまだに完璧にはできていない。理想の星を手に入れはしたが、その生活はそれほど快適ではないのが事実なんだ。ただ生きているだけで身体への負担が多く、じゅうぶんなメンテナンスが必要になる。食料調達にも苦労をするし、いい点があるとははたからは感じられない。けれど、当のアラストン人だけは大満足なんだ。

 しかし、適応をしている一部のアラストン人も存在している。それがモネーの家族だよ。モネーの家族はその町で、数世代を過ごしてその能力を手に入れた。

 身体の内部的には、いまだに適応しきれてはいないようだ。季節の変わり目では体調を崩し、食べ物も選び間違えると身体を壊してしまう。けれど、外見的な対応を果たしたんだよ。

 その理由はきっと、暮らしていた町にあると思われる。森の中では外敵が多いんだ。普段通りの姿では目立ってしまう。身を隠す必要があったんだよ。

 それに加えてその森には、不思議な生き物が多く存在していた。アラストン人は、モノマネが上手なんだ。そんな生き物の生態やらを真似しながら、少しずつ進化していき、その能力を手に入れた。

 擬態ができる人間は、他にはいないはずだ。アラストン人の擬態は完璧なんだよ。なんとなく地形に合わせた姿をしている人間は多いが、擬態と呼ぶには安っぽい。本当の擬態は、難しいんだ。

 モネーは、その姿を完璧に周りの景色に溶け込ませることができる。生き物や植物の真似をするだけの普通の擬態とは違うってことだ。


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