トゥーリ
あいつの名前は、トゥーリ。猫みたいだなって、僕は感じた。トゥーリって名前は、半魚族の言葉で幸福を意味するらしいんだ。確かにそうだ。トゥーリが僕たちの学校に来てから、世界は幸せに近づいた。
トゥーリってさ、ヌメヌメしてるよな。そう言ったのは、僕の友達のモネーだ。モネーは政府軍の親を持つエリート候補だけど、らしくないから好きなんだよ。政府軍の子供たちは、みんながみんな揃って鼻に付く。モネーだけが特別なんだよ。と言っても、今でこそであり、この学校に来たばかりのモネーは、少し今とは違っていた。
そう言うモネーはスベスベじゃんかよ。僕がそう言ったんだけど、その言葉にミカが反応した。
それって差別じゃない? マッティって、空気読めないよね。そう言った新興軍のミカは、僕の頭を引っ叩いた。そしてすぐ、あんたの頭って硬すぎよ! そう言いながら僕の頭を叩いた右手を口元でハーハーする。
ミカは女の子だ。この星ではまだまだ珍しい地球人でもある。地球人は元々、政府軍に加盟していたんだけど、ほんのちょっとの事件がきっかけで今は新興軍に所属している。性格はキツいけど、僕はミカが大好きだ。引っ叩かれていても、痛みは感じない。僕の肌が硬いからってわけじゃなくて、愛情の方が優っているからだよ。
モネーは政府軍を創り出し指揮しているアラストン人の息子だ。両親ともに政府軍の中尉としてこの星で働いている。