埋葬
ミカに突進するカッカを止めたのはアピナとセイナだ。セイナが間に入り、背後からアピナが抑え込んだ。
しかし、暴れるカッカを抑え続けるのは難しく、アピナとの立場が次第に交代されていく。僕とセイナはなにもできなかった。というか、なにかをしようとする前に、事態が収束したんだ。ミカが、そこに置いてあった鉄棒を振りかざし、何度も強く、カッカの頭を叩いたからね。
その鉄棒は、普段は遊具として使用している。二本の支柱の上に乗っかっていて、普通の人間では持ち上げるなんてことはできない。ミカはそれ程の力持ちでもない。鍵場の馬鹿力が発動したんだ。
気を失ったカッカを、セイナが担ぎ、海へと向かった。僕たちは、後をついて行く。
アピナが、そのまま沈めるのは可哀想だから、箱に入れてあげよう。そう言った。そしてどこからか、カッカが入りそうな木製の箱を持ってきた。
ここに海水を入れて、カッカを埋葬するんだ。土の中ではなく、海の中にだけどな。
アピナはそう言いながら木箱の中に海水を入れた。そしてセイナがカッカを入れると、驚きの変化を見せた。カッカが、溶け出したんだ。その様は、気味が悪い。とろけるチーズとはわけが違う。
カッカが完全に溶けきるのを確認してから、アピナは蓋をした。カッカが溶けた海水の色は、濃い緑に染まっていた。
こいつでもう、この蓋は開かないだろう。こいつが海に溶け出してもなんの問題もないだろうけど、気分がいいものじゃない。このまま捨てるのが一番だよ。
アピナはそう言い、木箱の蓋を銀の釘で数ヶ所打ち付けた。そしてセイナと二人でその木箱を持ち上げ、海に捨てたんだ。




