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スペースセンチュリープライマリースクール  作者: 林 広正
第一章 四人の出会い
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コウモリ男

 その声に反応をした僕たち四人は揃って下を覗きに移動した。下から声が聞こえてきたっていうのもあるし、その声がミカのものだって四人全員が気がついていたからだ。

 そこでは予想通りの光景が目に飛び込んできた。ミカがコウモリ男に襲われていたんだ。

 僕とモネーは迷わず飛び降りた。着地のときに足が痺れはしたけれど、痛みは感じなかったよ。興奮状態にあると、人間は痛みを忘れるんだ。

 まぁ、その代償は支払う羽目になったんだけど、仕方がないよな。

 突然目の前に現れた僕とモネーに、その日二度目のミカは驚きもしなかったけれど、カッカは大慌てだった。僕とモネーは迷わず、カッカを殴り、地面に押さえつけた。

 大丈夫か? モネーはミカにそう尋ねたが、視線はカッカから離さない。

 大丈夫だと思うよ。ちょっと首を噛まれだけど、血も出てないし、痛みも感じないから。

 その言葉に僕は、その場では違和感を覚えなかった。後になって気がつき、慌てたけれど、今のところは誰にも言っていない。モネーはそんな言葉を覚えていないようだし、ミカもその傷が治ったせいか忘れてしまっている。

 まぁ、今はまだ発症していないし、感染していない可能性もあるから、僕も知らないふりをしている。なんとなしにアピナに感染者の対策方法を聞いたことがあるけれど、いくつかの対策があり、一番効き目があると言われているのが、毎日海藻を食べることらしい。僕はそれとなく勧めたけれど、実際に食べているのかは分からない。

 カッカは大暴れで僕とモネーを振り解こうとしたけれど、そうはさせなかった。しかし、その後どうすればいいのかが分からず困っていたんだ。

 するとアピナとセイナがやって来て、海に投げるんだ。それしか方法はない。そう言った。

 その言葉を聞き、僕は思わず手の力を緩めてしまった。油断ってやつだ。そしてその油断は、連鎖する。モネーの手からも、力が抜けた。

 解き放たれたカッカは、真っ直ぐにミカへと突進する。どうしてもミカと結ばれたいらしい。コウモリ男が元に戻る方法は、それしかないんだ。異性と結ばれることで、その姿が元に戻る。そして結ばれた異性は、その身にコウモリ男の子供を宿すんだけど、生まれてくる子供は、初めからコウモリ男であり、その宿主の腹を食い破って生まれてくるそうなんだ。都合がいいことに、元に戻ったコウモリ男は、自分がしたことの記憶をなくす。

 カッカを救うためには、ミカを犠牲にすればいいんだけど、そこにいた誰もがそんな考えを持たなかったよ。そのことを知っていたアピナでさえもね。


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