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スペースセンチュリープライマリースクール  作者: 林 広正
第一章 四人の出会い
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レパコ菌

 屋上へ辿り着くと、そこにカッカの姿はなく、アピナとセイナがいるだけだった。途中で騒ぎもなかった。あの姿のカッカを見れば、悲鳴ぐらい誰だってあげるはずだ。しかし、そうはならなかった。

 カッカはどこにいる? 僕がアピナにそう聞いた。

 ここにいると思って来たんだけど、いないんだよ。

 アピナは知ってたのか? カッカが変化するって?

 知るはずないだろ! 可能性はあったかも知れないけどな、俺だって初めて見るんだよ。ああなったら最後だ。あれは目的が達成するまで暴れるんだぞ! そして周りの数人に噛みつき、体内の菌を全て移し終えると消えて無くなる。ミカと結ばれるよりはその方がましかも知れないが、そんなことさせてたまるか! 止める手立ては一つだぞ。海に突き落とす。それしかない。

 アピナが言うにはだけど、コウモリ男になるには、悲しみのバラードを聞く以外の絶対的条件があるそうなんだ。レパコ菌と呼ばれるウィルスが体内に存在すること。レパコ菌は人の体内の血管内でないと生きていけない。そのため、噛み付いて感染させるそうなんだ。コウモリ男に変化すると、鋭い歯が生えてくる。そしてその歯には穴が開いていて、圧力がかかるとそこから血が流れ出る仕組みになっている。

 レパコ菌は、体内に存在していても発症せずに一生を終えることもあるそうだ。悲しみのバラードを聞いても変化しない感染者も多いという。しかし、なにはともあれ、犠牲者を出すわけにはいかない。

 やめてよ!

 その叫び声が誰のものかは明らかだった。僕は危険に晒せないためにとミカを置き去りにしたんだけど、見事なほどの裏目だったんだ。


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