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スペースセンチュリープライマリースクール  作者: 林 広正
第一章 四人の出会い
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伝説

 アルクース人にはある伝説が存在するんだ。ある種の音楽を聴くと、身体が変化をし、凶暴になる輩がいると。それは、宇宙全体で恐れられているコウモリ男のルーツでもある。

 しかしそれは、あくまでも噂にすぎなかった。少なくとも世間一般ではそうだった。本気で信じている奴なんて、僕も含めて一人もいないと思っていたんだ。

 それでもカッカが引っ越してきたときには、ほんの少し話題にはなったよ。あいつがコウモリ男だったらどうする? ってね。けれど、存在感の薄いカッカだからね。すぐに忘れられてしまったんだ。カッカはある意味で、周りに溶け込むのが上手だったとも言える。

 あの日もそうだ。僕とモネーがミカを追いかけてトイレに行った後、アピナたちもまた、少しの間をおいて追いかけてきたそうなんだ。その際アピナは、普段とは違う悲しみのバラードを口ずさんでいた。アピナとセイナも、カッカがいついなくなったのか、気がつかなかったようだ。クラスから聞こえる騒ぎ声を聞き、慌てて引き返してきた。

 クラスのみんなは、カッカがいなくなったことも、戻ってきたことにも気がついていなかった。まぁ、豹変したカッカの姿を見ても、誰も気づきはしないだろうけどね。アピナを除いては。

 アピナはその伝説を本気で信じている稀有な一人だったんだ。コウモリ男についての本を山程持っていて、家で研究をしていて、いつかはアルクースに行くことを夢見ていたそうだ。それもあって、カッカを守っていたんだよ。アピナだけが、カッカが変化するかもと恐れていたんだ。まぁ、本気では思っていなかったってことは、トイレでの会話から感じられるんだけど、伝説っていうのはそういうものなんだ。信じる気持ちと、まさかっていう気持ちがぶつかり合い、はまっていくんだよ。


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