犯人
当然僕たちはアピナが犯人だと思い、探し回ったよ。どこ行きやがった! 学校中を走り回ったが、アピナの姿は見えなかった。
突然動き回ったせいなのか、モネーはお腹が痛いと言い、トイレに駆け込んだ。しかし、入り口で立ち止まる。
どうしたんだよ! 僕もトイレの中に入ろうとしていたんだ。だから突然立ち止まったモネーの背中に追突した。
静かにっ! モネーはそんな言葉を少し大きく口にした。なぜだか僕の口を塞ぎながらね。
中に誰かいるんだよ。なんだか怪しげな話をしている。
僕はそっと、トイレの中に足を踏み入れた。モネーは僕の後ろで、やめとけよと、囁きながらもついてくる。
この声はアピナのだぞ。僕は足を止め、その声だけに集中した。モネーもそれに倣い、動きを止める。その声は一番奥の個室から聞こえてくる。
こんなことになっちまったけど、どうすればいいんだ? 俺は悪くないからな。あいつが本当にそういう人種だとは知らなかった。どうする? このまま知らん顔ってわけにはいかないよな。
けどどうするんだよ。僕は分からないよ。
セイナの声が聞こえてきた。
おい! 今なにか聞こえなかったか? 外に誰かいるんじゃないか?
アピナがそう言った途端に、僕とモネーは顔を見合わせ、物音立てずに後退った。
おい! 誰かいるのか! ドアが開く音とアピナの怒鳴り声が聞こえたけれど、僕とモネーはすでにその場を去り、廊下に出ていた。アピナとセイナは足が遅い。追いかけられる心配はないと感じ、ゆっくり様子をうかがうことにしたんだ。トイレの入り口からは見えない場所に隠れてね。
誰かに聞かれたのか? どうする? あいつをどうにかしないと、先生にバレたら俺は殺されちまうかも知らないんだぞ!
先生にバレなくても、殺されるかもよ。
クッソ! どうすればいいんだよ!
アピナがセイナの肩を殴っていた。僕はその様子を見て、おかしな点に気がついたんだ。いるはずのもう一人がいないんだ。アピナたちはいつだって、三人で共に行動していた。
そうなんだ。カッカの姿が見えなくなっていた。僕はすぐに、アピナが言うあいつが誰なのかに気がついたよ。




