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スペースセンチュリープライマリースクール  作者: 林 広正
第一章 四人の出会い
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いじめ

 ミカはその日を境に、学校での立ち位置を変えていった。地球人のミカは、その前例があるせいか、直接的ないじめは受けていなかった。けれど、間接的にはいじめられていたんだ。僕は思うんだけど、シカトほど陰険ないじめは存在しない。

 ミカはじっと、そのいじめに耐えていた。クラスの女子たちから一言も話しかけられなくても、まるで気にしていなかったように僕には見えていたんだけど、それは間違いだったようだ。内心では、相当に応えていたようだ。

 転校初日の挨拶で、ミカはこう言った。

 みんなと仲良くなれたら嬉しいです。

 可愛いことを言うよな。僕はすっかり忘れていたけど、その日にはっきりと思い出したよ。

 しかしその言葉は、女子たちの反感を買ったようだ。可愛子ぶるなよってことらしい。

 ミカがじっと耐えてた理由は二つある。一つは単純に、面倒だからだ。相手にするほどの奴らじゃなかったってことだよ。もう一つは、自分が立ち上がる好機を待っていたってことだ。意味もなく騒ぎ立ててもいじめは消せない。ミカはこの学校からいじめをなくそうと、本気で考えてたんだよ。って言うか、今でもそう考えている。

 この学校でいじめをする奴は、アピナたちだけだ。まぁ、同年齢ではだけどね。他の学年との交流は少ないから、他のクラスの内側は見えないんだよ。けれど確かに言えることは、表立った陰険ないじめは存在していないってことだ。アピナたちでさえ、モネーが来るまでは表立ってのいじめはしていなかった。

 僕がこんなことを言うのもなんだけど、ミカへのいじめは大したことがなかったよ。シカトされるだけ。陰口を言われるだけ。正直、そんな奴らは相手にしないだけでいいんだ。実際にミカはそうしていた。そして、なんの問題もなく過ごしていたんだ。表面上はだけどね。

 だから僕は、ミカの存在をそれほど意識したことがなかった。


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