ミカ
あの三人は、僕とモネーが仲良くなったことに腹を立てていた。バカな奴らだよな。モネーに対して意味不明な恐怖を感じていたようで、表立ってのいじめはなかったけれど、陰口を言ったり地味な嫌がらせをしたりはしてきたよ。
まぁ、僕たち二人は相手になんてしなかったんだけど、黙っていられない人間っていうのもいるもんなんだよ。
あなたたちさ、そういうことしてなにが楽しいの?
教室でいつも通りモネーと話をしていると、背後に甲高い声が響いた。そのときは、それが誰の声なのか分からなかったよ。僕の記憶では初めて耳にした声だったんだ。記憶に残る声という意味ではね。
それはミカの声だった。僕とモネーが振り返ると、教室の後方で、あの三人の前でミカが叫んでいた。
あの三人がなにをしようとしていたのかは、そのときになってようやく気がついた。
僕とモネーの背中に向けて、太陽の光を照射させていたんだ。最低だよな。僕の身体の一部は熱くなり、煙が上がっていた。モネーの身体の一部は、真っ赤になっていたよ。
僕とモネーには共通点がある。それは、この硬い皮膚だよ。僕に比べればモネーの硬さなんて可愛いものだけど、一般的な肌の人間には硬く感じるんだ。けれど、この肌にも弱点がある。それは、熱からの影響をもろに受けるってことだ。しかもあの三人は、太陽の熱を一点に集め、僕たちの肌を痛めつけていたんだ。
僕やモネーのような皮膚の硬い人種は、熱に弱いんだよ。しかも、一点集中は反則技だ。体温を感じる感覚が鈍っているから、気がついたときには大惨事になってしまう。
それをミカが止めてくれた。
うるせぇんだよ! 地球人は黙ってろ!
そう叫んだのはカッカだった。
あんたたちのやり方って陰険なのよ! あの二人が嫌いなら、正々堂々と議論するなりなんなりすればいいでしょ!
ミカは元から気が強かったんだ。ただ、引っ越して来てからの一年間は、その本性を隠していたんだよ。その理由は、簡単に言えば人見知りだけど、地球人だからっていう理由がしっくりくる。




