アルクース人
カッカはアルクース人だ。小さな身体が特徴だけど、その心も小さいんだとよく言われている。革命軍に所属はしているが、元々は連合軍にいて、今でもスパイ活動をしているんじゃないかって噂が絶えない。実際に何人かがスパイとしての行動を疑われた後に裏切り、連合軍に寝返った者も多いらしい。
マッティはな、誰の味方もしない。こいつはいい奴なんだ。隣に座っているとよく分かるよ。
モネーのその言葉に、僕は噴き出した。思わずアピナの身体に唾が飛んでいった。
おいマッティ! 汚いぞ!
カッカがまた叫んでいた。アピナはなぜか、誇らしげな表情で僕を見下ろしながら、鼻をフンッと鳴らした。僕は意味なんてなく、悪かったよ。そう言った。アピナが満足気に頷いていた理由が、僕には分からない。
カッカはこいつに怪我させられたんだ。マッティよ、こいつを庇うとお前まで痛い目に遭うんだぞ。それでもいいのか?
セイナがそう言った。幅の広いセイナがそこにいるのは分かっていたが、その顔は見えなかった。どうしてこいつらはいつもアピナの陰にいるんだ? 僕には分からないことが、この宇宙にだけでなく、この教室内にも多いいってことを思い知ったよ。




