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私はテレビをぼーっと眺めていた。どうやら巷では二人の殺人犯が人々を脅かしているらしい。嘘をついてはいけません。私は小さい頃から母親に何度もそう教えられ育てられて来た。嘘をつくのは悪い奴です、正直に生きなさい。私はその言葉が誇りだった。だからテレビに映る彼らはきっと嘘つきなのだろう。小さい頃から嘘をつかない事を誇りとして生きてきた私だが、実は今悩んでいる。なぜなら私は周りに嫌われているからだ。私が正直に生きれば生きるほど周りはどんどん私を嫌いになっていく。空気を読めと言われ、可愛くないと言われ、お前は俺の事が嫌いだろ?と言われる。…ああ嫌っている。実は一度この誇りが揺らぎかけた事があった。母親が嘘をついていたのだ。その男の事が嫌いなはずなのにニコニコ愛想を振り撒いていたのだ。私が遠目にショックを受けているのに気づいたのか気まずそうに、世の中ってこういうものよと言って誤魔化していた。相手の事をよく知って嘘をつくか決めるの。私は母親のその言葉にショックを受けたが母親はその日のうちに事故で亡くなった。しかも事故の原因は愛想を振り撒いていた男が運転する車だった。私はやはり嘘をついてはダメだと理解した。嘘をついてはいけません。母親のその言葉だけを誇りに生きる事にしたのだ。しかしだ、実際長く生きているとあることに気づく。嘘をついている奴らの方が人に好かれているのだ。だから私も嘘をつこうか…しかし唯一私が大好きな人は嘘をつく私を見て悲しむのではないか?私は相手の色んな事をよく知っている、思うに相手も私を大好きだ。…ええい、考えても仕方ない。私は生まれて初めて嘘をついてみる事にした。嘘をついて町を歩いていると二人の男がニコニコしながら近づいてきた。私は驚いた。早速嘘をついた効果が現れたのだ。相手がニコニコしているときは良いことが起きる証。私は嘘をついて外してよかったと思った。車に乗った私の耳に聞こえたのは「野良犬だろうな」「首輪がないからそうだろう。かわいそうだが…」だった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なかなか皮肉と示唆に富んでいるのですきです。 [気になる点] 段落構成や、見た目を意識すると読みやすいです。 [一言] かくいう私は書き出したばかりなのですが・・・
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