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序 西梨々香の目撃
「森山くん、好きです──」
小学校の、卒業式の日のこと。
日の光は差しているけど、空を見上げれば雲ばかり。明るいんだか暗いんだかわからない、そんな日だった。
約50人いる6年生の女の子のうち、私の知っているだけでも10人くらいの子が、今日告白すると言っていた。私も森山清磁にコクると宣言したのだけど、緊張しすぎて事前に彼を呼び出すことができなかった。それでも今日のうちに気持ちを伝えておきたかったので、私は校内を探し回っていた。
10分以上かかってやっと見つけた森山は、私が呼び出そうと思っていた校舎裏に、既にいた。
「おれも、仁藤のことが──」
そして、私の目の前で、カップルが誕生した。
彼らの持つ卒業祝いの花が、2人を美しく飾っていた。
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