出口は
彼が洞窟に来た時、落とされたところに川が流れている。そこに落ちたことで怪我なく落ちることが出来た。川はかがめば入れそうな穴を流れ出ている。ロークはその穴に手をかざしていた。
「ここから風が出てる。この先はつながってるかも」
「なるほど、そこから泳げば出口に。よかったですね」
「ああ、うん。そうだね」
やや諦め気味な声を漏らした。
(どうした、さっさと入ればいいじゃないか)
「泳げないからだよ」
穴は狭く、通ろうとするならば水に顔を浸すことになり、しばらく潜らなければならないだろう。さらに奥はどのようになっているかわからない。更に狭くなっているため、泳ぐことが必至となるかもしれない。
(なるほどなるほど、そんなこと言っている場合じゃないだろうが!)
「苦手なことの一つや二つ別に良いだろが!」
急に声を張り上げる彼に少し押されたのか(それでよく一度岸までこれたな)と、呆れ気味に問いかけた。
「必死だったさ! 途中で足がつく高さまで来てたから大丈夫だったんだよ!」
「でも、ここしかありませんよ」
喚く彼に現実を突きつける鎧人形。一瞬、動きが止まると座っている鎧人形に視線を移し、すがるような目で睨みつけた。
「何かないの? カウラが俺の体を奪ったように」
「あなたの身体を鎧で覆うことくらいなら」
鎧人形の言葉に数秒考えこむように黙っていたが何も思いつかなかったのか「それで何ができるんだ?」と、問いかける。
「さあ、水中でやったら身体に石を付けている様な物ですし」
「ダメじゃねえか!」
○
それから数分が経つ。ロークはずっと水に手を当てて悩み続けているだけ。鎧人形は一言も喋らず座り続け、カウラは彼の頭の中で苛つくように舌打ちを続けていた。
(ロークだったか。俺は待つことが嫌いだ)
「そっか」
興味なさそうに返答するローク。返答に関係なくカウラの言葉は続蹴られた。
(俺はすぐにでもここを出たい)
「そっか……いや待て」
カウラの言動に違和感を覚えたのか、あせりながら聞き返す。ロークのことなどお構いなしに頭に響く声はしゃべり続ける。
(もちろん、分かっているだろう。幸いグレイがいるから早く回復が出来たからな)
「は? なっ、静かだと思ったら大丈夫か!」
鎧人形は乾物のように平べったくなってしまっていた。
(大丈夫だ、時間が経てば元に戻る)
全く気にしない様子で喋り終えるとロークの頭がガクッと下がる。
顔を上げるとカウラに代わったのか少しにやけた表情を見せた。ペラペラになった鎧人形を胸ポケットに入れ、準備体操を始めたと思えば、いきなり川に飛び込んだ。
そのまま浮かび上がることはなく、彼の姿は消えた。




