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エルドの地下

 ここはエルドの地下。そこには国自らたてた研究所がある。そこで今日も研究が行われていた、ガラス張りの密室にカエルが溶けたような生き物。ナメクジのように地面をはいずりながら動く生き物。

 それに向けて一つの剣が突き刺さる。一度刺さり動きが止まる。それに向けて何度も何度も剣が突き刺さる。

 それは動かなくなった。

 それを見ている研究者たちは手に持つ紙に記録を取り、結果を残していく。その実験が行われている部屋の隣。5センチほどの敷居がある隣の部屋に1人の子供が両手両足が手枷を付けられガラスの部屋に縮こまっている。

 腰ほどある黄色い髪、白い肌に白いシャツ、下は黄色い短パン。男が女か分かりにくい、そんな子供が何も喋らず、眠っているのかしゃがみ、下を向いたまま一切動かない。



「魔女、起床時間だよ。おっきなさーい」


 子供の部屋に甲高い男性の声が響く。明るく、すごく楽しそうな男性の声に、魔女と呼ばれた子供はゆっくりと顔を上げた。

 子供の顔は顔と呼ぶには不気味だった。

 真っ赤な瞳、充血しているのか錯覚してしまうほどの赤い目。唇は白く、他の人と比べれば異常に不気味。

 

「相変わらず不気味な顔だな!」


 男性は何の怖気もなく入っていく。魔女の前に座ると彼女はしゃべり出す。


「またお前か。今日は何をする気だ」


 口の中も真っ白、しかしその異端なものを見ても男性は笑顔を何一つ変える様子はない。


「たまには、その顔以外もみせてほしいんだけどねー。ほら、初めてあったときのあのかわいらしい顔をさ」

「そしたらお前は遊ぶ気だろう。その顔の歪む様でっ――」


 しゃべっているのもお構いなしに魔女の髪を掴む。顔を近づけ男性の目が大きく見開き口はまだ笑みを浮かべたまま。


「そりゃそうさ。お前じゃ面白く無いんだ、よっ!」


 殴りつけた。魔女は何の抵抗もないまま殴られた勢いでそのまま壁に頭をぶつけてズルズルと壁にもたれ落ちていく。


「貴様はこんな人形を殴って楽しいか」

「楽しいわきゃねえよ! 前みたいにピーピー泣きわめかねえとこっちは何やってんのか分かんねえんだよ」


 倒れた魔女を踏みながら怒鳴りつける、その表情は笑顔のままだが声に焦りを感じられる。 

 周りにいる研究者はまた始まったと言わんばかりに呆れた表情でその光景を眺めている。


「ふふっ、この狂人め」

「あっ?」


 その言葉にキレたのか、何度も何度も踏みつける。息を荒らげながら疲れたのか踏みつけるのを止めた。何度も踏まれた魔女、しかし何事もなかったように立ち上がり座るだけ。全く傷一つない。

 

「はぁはぁ、お前たちの目的は何なんだ。破壊するだけなのか、本当にそれだけなのか」

「ああ、それだけだ。苦しめ苦しめ。ほら、殺してみせろ」

 

 両手を広げて抵抗を見せない。だが、男性はそれに対して吹っ切れたように大声を上げて笑う。

 

「そんな口車には乗らねえよ。実験物で叩けば殺せるのは分かってるからな。お前だって死ぬのが怖いからここから出ないんだろうが、あ?」

「……」

「チッ、今日も弱らせておけ。今日は……腕でもやっておけ」


 男性は出て行く、代わりに研究者が中へと入っていく。手には黒い剣、これから行われる行為を子供は虚ろな赤い目で何一つ語らずただそこにいた。

 

 ○

 

「到着っと」

(やっとか、なんで毎回一日必要なんだよ)

「しょうがないだろ、許可証の申請は面倒なんだから」


 ローク達はエルドへと到着した。今は救世の民の事の次の日の昼。あれからさっさと許可証を取りに行き急ぎ足でエルドへと到着した。

 エルドの街はミズシナに似た同じような街並みが続く。土地勘のないかれがそのまま入ってしまえば迷ってしまうだろう。それでもカウラに急かされるまま街中へと入っていってしまう。

 歩き始めて30分ほどのこと。

 

(おい、いつまで歩いているつもりだ)

「そんなこと言ったって、どこに城があるとか全く知らないわけだし。それに…‥」

(それに何だ)


 何か含みがあるように言葉を貯めるローク。それにカウラが問いかけると「迷った」と、つぶやいた。

 

(またか!)

「だってどれも一緒に見えるし。いつの間にかクリアスはどっか行ってるし」

(グレイ)

「分かっています。もうしていますよ」


 一分ほど待ってクリアスが息を荒げながらやってきた。また前とは違う男の姿。

 

「何ですか……いいところでしたのに」


 ものすごく嫌そうな顔をして現れたクリアス。まだグレイの攻撃が止まっていないのか腹を抑えて顔を歪めている。

 

(城を探せ、大体お前は何のためにここにきたのか分かっているのか)

「もちろん栄養補給です、あっやめ! 冗談です!」


 再び腹痛でもだえ倒れている。


(だったら話をそらすんじゃ無いぜ)

「わかりましたよ。城を探せばいいんですね」


 軽く答えるとさっさとその場を立ち去っていく。後ろ姿は何とも愉しげで本当にわかっているのか怪しい。カウラはその様子に舌打ちを漏らしているが無視して(コッチも探せ)と、急かしていく。

 彼らは見つけた。町中に立つ塔のような建物。今までは建物に遮られて見えなかったが、ようやくその姿を表した。

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