表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
下忍の権蔵が異世界で手に入れたモノ  作者: くま太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/94

下忍が異世界で初めてはめられた?事

久しぶりの更新です

 夜明けの眩しい光が顔を照らしても、獣人の娘達はスヤスヤと眠っている。

 権蔵はそれを確認すると、安心したのか軽く溜め息を漏らした。

 

「犬人の娘はこちらで預かります。ですから馬人のお姫様が目覚める前に引き取ってもらえませんか?」

 犬人の娘とはクレオの生き別れた妹エルバの事である。

 当のクレオは妹エルバの顔を確認するなり安堵の為か、嗚咽を堪えながら泣いていた。

 

「あら、ゴンゾーさんは囚われの姫を救った勇者様じゃないですか。顔を見せずにいなくなられるんですか?」

 キルケは口を手で隠しなからクスクスと笑っている。

 

「そんな事をしたら顔を見せないで連れ出した意味がなくなるじゃないですか。何よりも俺はポセイドン様に殺されたくないですから」


「連れ出した犯人だとばれたらキューマを殺しちまうんだな…どうにも徹底してるね」

 ヘパイストスはそう言うと顎を撫でながら軽く溜め息を漏らした。

 キューマは海神ポセイドンが馬人の娘に産ませた子供であり、もしキューマを殺したとなるとポセイドンが怒るのは目に見えている。


「…出来たらヘパイストス様かキルケ様がボロニアスの所から連れ出した事にしてもらえたらありがたいんですけどね。俺はあくまでただの行商人ですので」

 何しろエルバ達が捕らえられていたのはスパルータの貴族ボロニアス子爵の屋敷。

 事が露見したら権蔵は死罪を免れないであろう。


「分かったよ、港に行けばポセイドンのオジキの使いが来る手筈になっている。報奨はそうだな…お前が欲しい物を作ってやるから考えておけ」

 

「分かりました。それで猫人の娘はどうしますか?」

 エルバは姉のクレオがいるからボロニアス子爵に申し開きの仕様がある。

 しかし、誰とも無縁の猫人の娘を連れていは自分が誘拐犯と言っているのと一緒だ。


「ボロニアスに関しては心配するな。今頃、オジキの使いにどやされて顔を青くしているだろうよ。ボロニアスが恨むとしたら神の娘を売った奴隷商さ」

 ボロニアスはキューマと同じく半神のアレクレイスを崇めている。

 そのボロニアスがポセイドンの娘を奴隷として買ったのがバレると、アレクレイスへの信心を疑われても仕方がない。

 何よりも今回の一件でアレクレイスの立場が悪くなるのは確実だ。


「神の娘を売り物にした不信心な商人として誅される訳ですか…猫人を雇ってくれる場所があれば良いんですけどね」


「あら、それでしたらゴンゾーさんが面倒を見てあげれば良いじゃないですか?確かこの娘は薬師をしていたそうですから旅に連れて行っても損はしませんよ。何よりこんなに可愛らしいお顔をしていますから、町に置いていったら大変な事になりますよ」

 キルケの言う通り、猫人の娘ミータは整った顔立ちをしており、純白の髪と猫耳、そして雪の様に白い肌が儚げな印象を与える。

 そして権蔵は怪我をするのは日常茶飯事だし、ガイアの草木に関する知識は皆無に近い。


(これ以上人が増えるのは勘弁だ。しかし、役には立つのは確か…町に置けば貴族に難癖をつけられて遊ばれるのがオチだな)


「本人に選ばせたら良いんじゃないですか?存外、ボロニアスの所に戻りたいと言うかも知れませんし」

 権蔵は自分がミータの様な娘に好かれないのを良く知っており、ミータは町に残るであろうと楽観視していた。


――――――――――――――――


 港に着くとポセイドンの使者は既に待機しており、キューマの顔を確認するなり権蔵に深々と頭を下げてきた。


「間違いなくポセイドン様の血を引いておられます。これでポセイドン様のお怒りも少しは収まるかと」

 使者の話ではポセイドンはキューマが奴隷にされていると聞くと烈火の如く怒り、スパルータを海に沈めるとまで言ったらしい。


「海にですか…凄まじい話ですね」


「ハーデス様とヘパイストス様の執り成しで落ち着つかれましたが、本当にご無事で良かったです」

 使者はそう言うと、はらはらと落涙した。

 本来なら花よ蝶よと育てられていてもおかしくはないキューマが奴隷に身を落とした事に対する憐憫の情があるのであろう。


「それでは私はこれで失礼致します」


「この度は本当にありがとうございました。近いうちに主から招待が届くと思いますのでよろしくお願い致します」

 使者はキューマを恭しく抱き上げるとヒラリと船に飛び乗った。

 不思議な事に船は二人分の体重を受け止めたにも関わらず、微動にしない。


(船が少しも揺れねえか…敵対は勘弁だな)

 白波があるにも関わらず船は海原を滑る様に移動して行く。

 権蔵は船が視界から消え、背に嫌な汗が滑り落ちているのに気付いた。


――――――――――――――――


 権蔵は船の一室でヘパイストスと相対していた。

 クレオはエルバと久しぶりの家族水入らずの時間を過ごしているし、プリムラとキルケはミータに付き添っている。


「キューマの母親は娘に平凡な一生を送らせたかったのさ。所がその母親が流行病で亡くなっちまった。後はよくある話で奴隷商に騙されて奴隷にされちまったのさ」


「見た目が良いってのも考えものですね。悪戯に面倒事に巻き込まれてしまいます」

 幸か不幸かキューマも見た目が美しい。


「お前は嫁が欲しくないのか?」


「考えた事もありませんね。何より俺の所に嫁に来るもの好きな女はいませんよ」


「そうかい?でもお前の周りには世話焼きな女が多いみたいだぜ」

 ヘパイストスがニヤリと笑うのと同時に船室の扉が開かれた。


「ゴンゾーさん、ミータさんが旅に同行したいそうですよ」


「うん、これでお姉ちゃんも一安心だよ」

 唖然とする権蔵を見て二人のお節介焼きがニヤリと笑った。

前書きと後書きは書かない方が良いんでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ