下忍が異世界で考えた交渉手段
復活です
キルケの搭の一室で下忍は目を閉じ渋面を作りながら悩んでいた。
権蔵の顔を見たキルケの使用人は怯えていたし、大分慣れた筈のクレオでさえ微妙な距離を置いていた。
そんな権蔵に近づけるのはただ1人。
「ゴンちゃん、さっきからウンウン唸ってどうしたの?可愛い顔が台無しだよ」
権蔵の顔を可愛いと思えるのもプリムラぐらいなのだが。
プリムラは質問に答えない権蔵に不服なのかムーッと唸ると彼の頬を両手で摘まみだした。
「姉ふぁん、なにふるんでふか?」
「お姉ちゃんの質問に直ぐに答えないゴンちゃんが悪いの!!」
プッと頬を膨らませるプリムラと若干涙目の権蔵が見つめあう。
「キルケ殿の依頼を考えていたんですよ。アマゾーンからクリアンセマムを分けてもらえって言われたんですから、勝手に摘んだり奪うのは駄目だと思うんですよ」
誤魔化してもキルケ殿には、ばれるでしょうしと、権蔵が付け加えた。
「アマゾーンの人達は男嫌いだからね。今じゃ子供を身ごもる時しか男の人と会わないみたいだし」
「それじゃ男の赤子が生まれたらどうしてるんですか?」
「父親に押し付けるか殺すみたいだよ。何しろアマゾーンは一族あげての男嫌いなんだよね」
「間引きの為じゃないんですね。一体何があったんですか?」
プリムラの話によると遥か昔、ある男がアマーゾンの部族長の持っている帯をもらってくるという試練を受けた。
男は族長の妹を捕虜にして交渉を成功をさせる。
しかし、ある者が族長を拐われると騒いだ為にアマゾーンが男に襲いかかってしまい、怒った男は族長を殺してしまった。
またある時、1人のアマゾーンの娘が誘拐されてしまう。
それが原因で大きな戦争に発展した。
「そりゃ男嫌いにもなりますね」
「昔の話だから諸説様々あって、男はわだかまりを無くす為には普通に交渉したって話もあるし、族長も逞しい男の子供が欲しくて交渉に応じたって話もあるんだよ」
「アマゾーン側にはもっと悪く伝わっている可能性もあるんですね…やはり利で交渉するしかないですね。ちょっと気になる事があるんで確認します、クレオ馬に乗ってくれないか」
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クレオが馬に乗っている姿を見て権蔵は確信をもった。
「姉さん、こっちの乗馬はこんな感じですか?」
クレオは馬に手綱だけをつけて乗っている。
「ゴンちゃんの国は違うの?」
(この世界にゃ鞍も鐙もねえみたいだな。使っているのは手綱と馬に敷く座布団だけと…鞍も鐙も作れるが、そんな物を手に入れたらアマゾーンが逆襲に走る可能性があるな)
「もっと便利な道具を使いますよ、でもそれをアマゾーンには渡しません。便利な道具と花の交換じゃ怪しまれますからね、馬に乗りながらでも使える篭を作りますよ。姉さん、すいませんがこの島に竹が生えてるか聞いてもらって良いですか?」
「竹?竹ってバブの事だよね?笛を作るんじゃなくて?」
「あんな便利な物はないですよ。釣竿も作れるし箒も作れるんですよ。乾かすのに時間がかかりますけどね」
「それならお姉ちゃんが魔法で何とかしてあげるよ。その代わりに」
プリムラはそう言って権蔵を上目遣いで見てくる。
「分かりましたよ。姉さんにも何か作りますよ」
権蔵は頭の中で姉は何を作れば喜んでくれるのかを考えだした。
「あ、扱いが違いすぎます。私の出番は馬に乗るだけですか?」
そんな中、犬人の娘は1人落ち込んでいたという。
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竹を手に入れた権蔵は忍び刀で細かく割り、竹ひごを作った。
そして手慣れた様子で竹篭を編んでいく。
その素早い手際はまるで魔法の様でキルケも関心して見ていた。
やがて出来上がったのは小さな徳利型の篭。
篭の首の所には赤い紐が巻き付けられており、腰に結わえ付けれる様になっていた。
「馬に乗りながら使える篭ですわね。奪うのではなく対価をもって交渉を試みるのですか、面白いですわね。他に何が作れますの?」
キルケとしては、どうやってアマゾーンの女を口説くのかを見たかったのだが、これもまた面白そくなりそうなので止めずにおいた。
「違う型の篭も作れますし、釣竿にザル、箱なんかも作れますよ…姉さんに約束をした物も作っておきました。俺の国で扇子って呼ばれてる扇いで涼を得る為の道具です」
「綺麗、ここに書いてあるのはもしかして桜草?」
扇子には墨で巧みに桜草が描かれていた。
「水墨画って言うんですよ。前に覚える必要があったもので。布は前に買った服を利用しました」
プリムラの喜び様に、権蔵は照れ臭くなりぶっきらぼうに答えてみせる。
「もうこの子は可愛いんだから。お姉ちゃん大切にするよ」
その後、権蔵はキルケに竹で作った箱を、クレオには犬が書かれた扇子を作る羽目になる。




