08
カイ 「…何もかもが奪われる…コーダまで…」
アレン 「…ここから逃げろって言ってた。逃げたい子は裏口から逃げて。案内するよ。」
でも誰も立ち上がらず動かなかった。
カイ 「…ここにコーダたちが来る。おそらく、僕らの敵となって。でも…僕はコーダがここに来るのを待ちたい。コーダと一緒に過ごした時間は僕にとって宝物だった。それに…もうコーダにしか希望を持ってなかった。だから...僕は残るよ…」
アレン 「…」
少しして家のすぐ近くで爆発音が聞こえ、数人が怖がって家の奥に隠れた。
でも、誰一人として逃げようとする子どもは居なかった。
アレン 「…僕ら、逃げれないのかな。逃げたいって思わないのかも。僕らは、前に同じように戦争があったとき、大切な人を亡くした。そして、傷ついた僕らの心に寄り添うように大切な人が新しくできた。もう…二度とそんな人を失いたくないのかもしれない…」
カイ 「…」
アレンはドアを開けて外に出た。
アレンの後ろにはカイを始め子どもたちが並んだ。
ロボット数台が庭に到着し、アレンたちに向かって武器を構えた。
アレン 「…」
カイ 「…ロボットの背中のボタン。長押しすると動きを止めることができる。ロボットを傷付けることも僕らが傷つくことも防げる。だけど…次にロボットが目を開いたら記憶は無くなってる。」
アレン 「…ロボットも僕らも生きてやり直そう。僕らが覚えていれば良いんだよ。ロボットを助けて僕らの…僕らに残っているロボットたちがくれた思い出を教えてあげれば良いんだよ。」
カイ 「…」
僕が涙を拭って前を見ると僕らに向かってきていたロボットは自分たちの主人を見ると自分で背中のボタンを押して倒れて行った。
カイ 「えっ…」
アレン 「これは…」
それでも僕らの方に向かってくるロボットに僕らも向き合うと僕らの前に何体ものロボットが現れた。
ロボットたちの後ろ姿の中にリズの姿があった。
アレン 「っ、リズ!」
リズ 「…アレン様。アレン様なら解決策を思いつかれたのでしょう?」
アレン 「う、うん。でも…」
リズ 「我々のようなアレン様たちにお仕えするロボットは同じ気持ちです。アレン様達に未来を託します。」
アレン 「…でも、記憶を失ってしまうよ…?」
リズ 「…良いのです。アレン様たちが望む未来のためならばそれで良いのです。」
アレン 「…」
リズ 「アレン様たちを狙うロボットは仕える方も居ない寂しいロボットたちです。そちらは私たちが倒します。」
他のロボットたちがアレンたちを狙うロボットの方へ向かうとリズも足を踏み出した。
アレン 「っ…リズ!」
リズは歩みを止めて振り向いてアレンを見た。
リズ 「…アレン様。アレン様と一緒に居られてリズは“しあわせ”でした。アレン様にとって思い描く素敵な世界を楽しみにしています。」
リズがアレンに微笑みかけ、リズは前を向いてロボットたちと戦い始めた。
しばらくしてロボット同士の凄まじい戦いは終わり、子どもたちに仕えていたロボットたちは自ら背中のボタンを押して倒れた。
皆が自分のロボットの元に駆け寄り、アレンもリズを探していた。
アレン 「リズ…リズ…!」
リズは見つからず俯いているとアレンの傍にカイが来た。
カイ 「…急に敵のロボットたちが倒れた。反乱側の主犯格が倒れたんじゃないかな。」
アレン 「…」
アレンが町に向かうと町のほとんどが荒れ果て、ロボットや大人たちが倒れていた。
政府の元に向かうとアレンの目にはリズが倒れているのが見えた。
アレン 「っ、リズ…!」
リズの元に走るとリズは体がボロボロになっていて、とても直せるような状況ではなかった。
アレン 「リズ!リズ!」
リズは反応がなく、胸元の鍵型をしたネックレスが光っていた。
アレン 「…」
アレンは力が抜けてその場に座り込むと近くからコーダが腕を押さえながらアレンの傍に来た。
コーダ 「…反乱側の指揮官を倒してくれました。最後まで勇敢に戦っていました。」
アレン 「…っ…」
アレンが涙を溢して声を上げて泣いているとアレンの家の方に避難していた子どもたちも町の方に集まり始めた。
すると、政府の建物の中から監禁されていた大人たちが出てきて、子どもたちを見つけて急に皆走り出した。
じいや 「っ、坊っちゃん!」
アレン 「っ…じいや…?」
じいや 「坊っちゃん…良くぞご無事で…」
アレン 「…うん…リズが…リズが守ってくれた…」
リズの手を握りながら泣いていると、じいやはアレンの傍にしゃがみ込み、アレンの背中に手を当てた。
じいや 「…この方が守ってくれたんですね。」
アレン 「…うん…」




