07
アレンが目を覚ますとリズが傍でアレンを見ていた。
アレン 「…リズ。」
リズ 「アレン様。落ち着きましたか?」
アレン 「ごめん…両親が居なくなったときと同じ景色で…」
リズ 「謝らないでください。アレン様の不安な気持ちは分かりますから。」
アレン 「うん…町で何があったのかな…」
リズ 「そうですね…」
するとチャイムが鳴った。
リズが出るとカイとコーダが居た。
コーダ 「あっ、すみません。少し、避難させてもらえませんか?」
アレン 「リズ。入ってもらって。」
リズ 「はい。どうぞ。」
アレンが上着を着ながらリビングに来るとカーテンを閉めた。
リズがお茶を淹れるとカイは締め切ったカーテンの隙間から外を見ていた。
コーダ 「すみません…」
リズ 「町で何があったんですか?」
コーダ 「…政府の反乱者が現れたようです。一部のロボットたちを利用して町を襲い、人間を全て消そうとしているようです…」
リズ 「えっ、人間を守るために作られたロボットが人を襲っているということですか…?」
コーダ 「はい…」
リズ 「…」
アレン 「…何で…何でよ…」
リズ 「…アレン様?」
アレンは頭を抱えながら俯いていた。
コーダ 「…政府はロボットたちを彼是構わずに壊し始めています。もうじき、我々にも壊れるようにと命令が下ると思われます。」
リズ 「っ…」
コーダ 「…それがカイ様たちをお守りする方法であることは間違いないと思います。でも…それで良いのでしょうか…」
リズ 「…」
リズはアレンを見た。
アレンは震えながら泣いていてリズはアレンの傍でしゃがみ込み、アレンを見た。
リズ 「…アレン様。」
アレン 「…何で…何でいつも大人の欲望のために大切な人を取られて傷つけられるの…」
リズ 「…アレン様。リズがここに来て学んだことを聞いてください。」
アレン 「…えっ?」
リズ 「…ロボットと人間の大きな違い。それは感情です。感情があるから人間は予測不可能な生き物で、だからこそ面白くて楽しいんです。ときに人間はその感情のせいで間違いを起こして悲しい結果をもたらすことになるかもしれない。けれど、それを忘れずに二度と繰り返さないよう、そして新しい一歩を踏み出せるよう進むことができる。それが人間です。そのためにはリーダーが必要です。芯を曲げず真っすぐと道しるべを示すリーダーが。アレン様。アレン様が思い描く世界、きっとそんな素敵な世界を作り出せるのはアレン様だけです。アレン様ならきっとできます。」
アレン 「…でも、リズが傍に居てくれないと…そんな世界を作る意味なんてないよ…」
リズ 「…アレン様がこの世界には必要なんです。私はあなた様をお守りします。それは、守らなければいけないからじゃない。アレン様を守りたい。それが私の感情だからです。」
アレン 「…嫌…嫌だよ…リズ…」
リズ 「…アレン様。この場所は町の避難場所になります。皆、ここを目指して来られます。この場所が最後の砦です。アレン様はこの場所を守ってください。アレン様と他の皆様の居場所を守ってください。」
アレン 「…どうして…」
すると何度もチャイムが鳴り響き、子どもたちとロボットたちが避難してきた。
コーダ 「…」
コーダは怪我をしたロボットたちの修理を行い、他のロボットは怪我をした子どもたちの手当をしていた。
アレン 「…」
コーダ 「ほとんどのロボット、子どもたちが集まっています。もうじき、ここも狙われるかと…」
リズ 「…分かっています。」
アレンはカイと窓の外を見ていてリズはアレンを見ていた。
すると、部屋中に耳に響くような電子音が響いた。
リズ 「っ…」
ロボットたちははっとしたように耳を澄ました。
アレン 「な、何?」
リズ 「…中央に召集するよう命令が下りました。」
アレン 「っ…」
リズ 「…」
ロボットたちが何も言えずに無言で外に出るとリズは最後に家を出て扉を閉めた。
アレンの家の中は、子どもたちのすすり泣きする声だけが響いていた。
アレン 「…」
カイ 「…終わりなのかな…この世界…」
アレン 「…終わらせない。母さんたちが命懸けで守ってくれた世界なんだ。簡単に終わらせたくない…」
カイ 「…」
すると、カイのポケットに入っていた通信機器が鳴った。
アレン 「…スピーカーにして。」
カイ 「…うん。」
カイがスピーカーをオンにすると、コーダの声がした。
コーダ 「…カイ様?」
カイ 「…うん。コーダ、大丈夫?」
コーダ 「…大丈夫です。でも…我々ロボットに下った命令は…その…」
カイ 「…何?」
コーダ 「…自分の主人を殺すようにと…」
カイ 「…え…?」
コーダ 「…反乱側の勢力が優勢です。反乱側は、人間を消そうとしています。既に何体かのロボットが改造されて主人を殺すという命令だけを遂行するためにそちらに向かっています。カイ様、落ち着いて聞いてください。そこから逃げて。できる限り遠くに逃げてください。早く。」
カイ 「…」
コーダ 「カイ様?カイ様、あっ、ちょ、止めて、返して下さい!」
急に通話は切れ、カイはその場で泣き崩れた。




