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心が生まれた瞬間  作者: 仙夏


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06

アレンはずっとリズの傍でリズが修理されている様子を見ていた。

コーダ 「…相当仲が良いんですね。」

アレン 「…」

男の子 「このロボットは、君のお母さん代わり?」

アレン 「えっ?」

男の子 「コーダは僕のお母さんの代わりに来たんだ。」

アレン 「…僕は両親を亡くしているから。リズはじいやの代わりに来たんだ。でも…」

男の子 「…分かるよ。その人とは別の大切な人なんだよね。」

アレン 「…うん。」

男の子 「…リズっていうんだ。このロボット。」

アレン 「うん。」

コーダ 「この子、ロボットの試験の中でも最難関の試験を首位で合格している子ですよ。ロボット界でも有名です。」

男の子 「へぇ、その上、君のために崖から身まで投げるんだね。大事にされてる。」

アレン 「…」


少しして、コーダがリズの背中のボタンを押して寝かせるとリズは目を開けた。

リズ  「…」

アレン 「リズ…?」

リズ  「…アレン様。お怪我は?」

アレン 「僕は大丈夫。リズは?」

リズ  「私は平気です。直してくださったんですね。」

リズはコーダを見ながら言った。

コーダ 「はい。その小指の怪我は今回とは関係ないようですがどうしますか?」

リズは小指に貼ってあった絆創膏に手を添えた。

リズ  「これはこのままで。」

コーダ 「分かりました。」

アレン 「リ、リズ。その怪我があったから今回だって危険になったんだ。この際、直してもらった方が…」

リズ  「…でも、これは私が“うれしい”と感じた怪我です。」

男の子 「怪我で嬉しい?ふふ、面白いね。」

コーダ 「カイ様。お二人には何か訳があるんでしょう。」

リズ  「申し訳ありません。お世話になりました。」

コーダ 「いえ、これくらい。今日はどうされますか?」

アレン 「…」

リズ  「帰りましょうか。アレン様。」

アレン 「…大丈夫なの?」

リズ  「大丈夫ですよ。」

アレン 「…」

リズはアレンをおんぶして外に出た。

リズ  「アレン様。アレン様の誕生日にご心配を掛けてしまい申し訳ありません。」

アレン 「…僕のために無理してくれたのは分かってる。でも、リズが居なくなっちゃうんじゃないかって不安になった…」

リズ  「私が壊れたらまたリズを作ってください。」

アレン 「…それはできないんだよ。」

リズ  「どうしてですか?アレン様なら簡単なのでは?」

アレン 「…リズはね、もう感情を持っている。リズが感じた感情はもう誰も作り出すことはできない。リズと僕がこれまで感じてきた感情は決して新しく作れるものじゃない。リズは、もう何台も作れるようなロボットの中の一つじゃなくて唯一無二になっているんだ。」

リズ  「…」

アレン 「…それに僕はリズが大怪我をしているところを見て平然を保てなかった。不安に駆られて焦って落ち着けなかった。」

リズ  「…アレン様が珍しいですね。」

アレン 「それくらい…それくらいリズが大切になったんだ。だから、僕のためでも無理しすぎないで。」

リズ  「…いえ、それだけは約束できません。アレン様も私にとって大切な存在ですから。」

アレン 「…そっか。じゃあ、僕がリズに無理をさせないように気を付けるよ。」

リズ  「…ふふ。アレン様、家に帰ったら誕生日会をしましょうか。」

アレン 「リズと二人で?」

リズ  「私が盛大に盛り上げます。」

アレン 「うん…」

リズ  「…初めて呼んでくれました。リズって。ありがとうございます。」

アレン 「…ううん。僕の方こそ…守ってくれてありがとう。」

リズ  「…アレン様。」

アレン 「ん?何?」

リズ  「…アレン様が危険な状況であれば私はいつでも助けに入ります。アレン様を傷付けるもの、苦しめるものは絶対に許さない。アレン様のことは、このリズがお守りいたします。」

アレン 「…僕はリズたちも安心して暮らせるような世界にしたい。リズも誰かを守るためじゃなくて自分が幸せになるために過ごせるような世界にしたい。」

リズ  「…素敵ですね。でも、そのような世界なら私の存在価値はあるのでしょうか?」

アレン 「…当たり前でしょ。リズは僕の隣で僕を支えていてくれれば良いの。」

リズ  「…アレン様を支えられる存在ですね。」

アレン 「うん。リズが居てくれるだけで僕は頑張れるよ。」

リズ  「…私も。アレン様のためなら何でも頑張れます。」

アレン 「…ありがとう。」

僕は涙を拭いてリズに抱きついた。

リズ  「アレン様?悲しいのですか?」

アレン 「…ううん。嬉しいんだよ。嬉しくても涙は出るんだ。」

リズ  「そうなのですね。」

アレン 「うん。人間ってさ、面倒くさいよね。笑いながら泣くこともあるんだ。笑うのか泣くのかどっちかにしたいのに両方が大切な感情なの。」

リズ  「ふふ。そうですね、面倒かもしれません。でも、だからこそ興味深いです。」

アレン 「うん。人間にもロボットにも良い部分がある。きっと、それを支え合いながら生きていければ一番良いんだよね。」


その夜、アレンとリズが誕生日会をしていると町の方で爆発音が聞こえた。

アレンとリズが外に出ると町の中心地が火の海になっていた。

アレン 「っ…前と同じ…」

アレンが息苦しさを感じて倒れ込むとリズが抱き留め、アレンは意識を手放した。

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