05
一週間後、アレンとリズが町に行く支度をしているとチャイムが鳴った。
アレン 「今日、誰か来る予定だった?」
リズ 「…いえ、その予定はありません。アレン様、部屋の奥に居てください。」
リズが扉の前に行くと、リズが扉を開ける前に鍵が開く音がして扉が開いた。
外には国の役人が五人揃っていた。
役人 「居るではないか。No.3393。」
リズ 「何か御用でしょうか?」
役人 「抜き打ち検査。きちんと仕事をこなせているか確認しに来たんだ。」
リズ 「…そうでしたか。」
リズは手を後ろに回して怪我をしていた小指を隠した。
役人は部屋の中に入って周りを見たりアレンの様子を確認したりした。
役人 「きちんとできているようだな。」
リズ 「はい。」
役人 「最後、No.3393の状態を確認する。」
リズ 「…」
役人たちがリズの周りに集まりリズをジロジロと見た。
リズ 「…」
役人 「手を上げてください。手のひらも確認させてください。」
リズ 「…はい。」
リズが手を見せると役人は絆創膏の貼ってあった小指を見た。
役人 「これは?」
リズ 「昨夜、怪我をしてしまっただけです。」
役人 「…そうですか。では、尋問ですね。」
リズ 「…これくらいの怪我でも尋問ですか?」
役人 「知っているはずです。お仕えする方、そしてロボット双方を確認し、どちらかに怪我があるようであれば何があったのか尋問をすると。」
リズ 「…」
役人 「何か都合が悪いことでもあるんですか?」
リズ 「…いえ、ありません。」
役人がリズを拘束し、外に連れて行くとアレンが走って外に出た。
アレン 「待って!」
リズ 「アレン様…」
アレン 「どこに連れて行く気?」
役人 「役所です。そこで尋問を行います。お使いする方に何があったのか。もし、危険な行為を行っていた、危険な状況にしてしまったなどの理由があれば、その場で壊します。」
アレン 「えっ…待って。怪我をしたのは僕のせいなんだ。僕がふらついて倒れてしまって守ってくれたときに怪我をしてしまったんだ。」
役人 「…それはNo.3393から聞かせてもらいます。それに、今の話ではNo.01様の体調管理を怠っていたように聞こえますし。」
アレン 「えっ、ちょ、ちょっと…」
リズ 「…」
役人がリズを連れて行こうとするとアレンは崖の上に立った。
アレン 「待って!」
リズ 「っ、アレン様…」
アレン 「リズを離して。離さないなら、ここから飛び降りる。」
リズ 「…」
役人 「…No.01様。変な考えは止めましょう。話を聞くだけですから。」
アレン 「…君たちの話なんて信じないよ。」
役人 「どうしてそのようなことを仰るんですか?」
アレン 「…君たちは信じなかった。僕の両親の言葉を。だから僕も信じない。僕は…もう二度と君たちのせいで大切な人を失いたくない!」
リズ 「っ…」
役人 「…何があったか知りませんが、ロボットに感情移入することはお控えください。こいつらは、あなた様のような貴重な子どもたちを守るためだけに存在しているのですから。」
アレン 「…君たちさ、僕らの間に何があったのかも分からないで勝手なこと言わないでよ。何で僕らは貴重な存在で、リズたちは貴重な存在じゃないんだよ!」
役人 「それは…ただのロボットだからですよ。あなた様のように未来を担っていく方とは違う。」
アレン 「…僕ら人間とリズたちロボットが手を取り合って一緒に生きていくのじゃ駄目なの?君たち大人が勝手に僕らに変な価値観を植え付けようとしないで。」
役人 「…」
アレン 「君たち大人が勝手に世界をめちゃくちゃにした。だけど、リズのおかげで僕は変われたし少しだけ強くもなった。僕らが怪我をしたり泣いたりしたからって何でもかんでも規制するのはおかしいよ。涙は傷付けられたときだけに流すものじゃない。僕は…涙を流して安心したし楽になった。何でもかんでも規制することで僕らは守られないし、それに守ってもらいたいとも思ってない。」
役人 「…分かりました。今日のところは帰ります。No.3393。夜の報告を忘れずに。」
リズ 「は、はい。」
役人たちが帰るとリズはアレンの方に向かった。
リズ 「アレン様。ありがとうございます。」
アレン 「…ごめん、部屋に運んでくれる?力が…」
アレンがふらついて倒れそうになるとリズはアレンを抱き留め、そのまま崖から落ちて行った。
アレンが目を覚ますとアレンはリズに抱きしめられたまま崖下に倒れていた。
アレン 「っ、リズ…!」
アレンが起き上がってリズを見るとリズは体のあちこちに怪我をしていた。
アレン 「ど、どうしよう…」
男の子 「…あ、あの。」
アレン 「えっ。」
アレンが声のする方へ振り向くと男の子と人型ロボットがこちらを見ていた。
男の子 「わぁ…大怪我…」
ロボット「大変ですね…とにかく、家の中へ運びましょうか。」
男の子 「うん。お願い。」
人型ロボットがリズを抱き上げるとアレンはロボットの足を掴んだ。
アレン 「…リズをどうするの?」
男の子 「…そんなに震えなくて大丈夫だよ。家で様子を見るだけ。安心して。」
アレン 「…」
アレンがロボットから手を離すとロボットはリズを家の中に運んだ。
男の子がアレンの背中を押しながら家の中に入るとロボットはソファにリズを寝かせた。
ロボット「…結構な怪我ですね。」
男の子 「直せる?」
ロボット「お時間はいただきますが、やれます。」
男の子 「お願い。」
アレン 「…リズのこと、直せるの?」
男の子 「コーダはこういうの得意だから。大丈夫。」
アレン 「う、うん…」




