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心が生まれた瞬間  作者: 仙夏


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04

リズ  「腕、触ってもよろしいですか?脈を測らせてください。」

アレン 「う、うん。」

アレンが腕を出すとリズは脈を測り始めた。

アレン 「…僕が怪我したら君も壊されるの?」

リズ  「はい。不要なものとして処分されます。我々はご主人様を守るのが役目ですから。」

アレン 「…そうなんだ…」

リズ  「規制も厳しくなりそうです。ご主人様が泣いていて尋問に掛けられたロボットも居るようです。」

アレン 「えっ…?」

リズ  「規制は厳しくなる一方ですからね。」

アレン 「ぼ、僕、泣いちゃった…」

リズはアレンの傍で腰を下ろしてアレンを見た。

リズ  「良いんですよ。アレン様、前に仰っていました。嬉しかったら笑う、悲しかったら泣く。それが普通だって。私はそれで良いと思います。」

アレン 「…どうして?」

リズ  「…ご両親を亡くしてからアレン様は普通じゃ居られなくなった。夜は一人では眠れないし、火を見るとご両親が亡くなった日のことを思い出して息苦しさを感じる。そんな中、笑って涙を流して、アレン様が普通だと思う普通を過ごせているなら、それで良い…いや、それが良いんです。」

アレン 「…でも、外では我慢するよ。君が壊されないように。」

リズ  「前は私を壊そうとしていたのに、最近は壊されないようにって心配してくださるんですね。」

アレン 「っ…」

リズ  「私に感情があれば、きっと、アレン様の仰る”うれしい”ですね。」

アレン 「…この一か月、僕は君のおかげで何度も泣いた。両親が亡くなってから涙を流すことさえできなくなっていたのに、君が僕の心を容赦なしに言語化してくるから…泣けるようになった。僕は、君に感謝してる。」

リズ  「アレン様は私のプログラムされた情報よりも素直で感情豊かなお人です。プログラムが間違っていたようです。」

アレン 「…あのさ、そのプログラムっていじっても良いの?」

リズ  「プログラムを?えぇ、禁止されている規定事項にはありません。」

アレン 「…君に感情を足しても良いかな?」

リズ  「そんなことが可能なんですか?」

アレン 「僕を誰だと思ってるの?」

リズ  「この国一番の天才です。」

アレン 「そう。僕に任せて。」


家に戻り、アレンは部屋に籠ってプログラムを書き換えるために勉強を始めた。

能力試験から数週間が経ち、アレンはリズのプログラムを少しだけ書き換えた。

アレン 「…これで終わり。これから僕がたくさんの感情を教えてあげる。次からはその感情を君も分かるようになるよ。」

リズ  「アレン様はどうしてここまでしてくださるのですか?私たちは、お仕えする方の召使いのような扱いを受けることになると教えられてきたのに。」

アレン 「…僕にとって、君はもうただのロボットじゃない。」

リズ  「…これが、”うれしい”ですね。」

アレン 「うん。」

リズ  「では、アレン様。私がアレン様に感情を教えていただけるように、私もアレン様にお教えしなければいけないことがあります。」

アレン 「分かってるよ。この数週間で溜まっていた勉強でしょ?」

リズ  「はい。一緒に学びましょう。」

アレン 「ふふ、はいはい。」

数日後、リズが夕食を作っているとアレンがリズを見ていた。

アレン 「今日の夕食は?」

リズ  「アレン様の好きなものですよ。」

アレン 「昨日のスープも美味しかったよ。」

リズ  「ありがとうございます。溜まっていた分の勉強を数日で片付けてしまいましたからね。アレン様へのご褒美です。」

アレン 「うん。さすがに疲れたけど…」

アレンは、ふらついてその場に倒れそうになり、リズがギリギリのところで抱き留めた。

アレン 「はぁはぁ…ごめん…」

リズ  「とにかく座りましょう。」

リズはアレンを抱き上げて椅子に座らせた。

リズ  「お怪我はありませんか?」

アレン 「うん…っ、指、切ったの…?」

リズ  「えっ?」

アレンはリズの手を取ってリズの指を見ていて、リズの右手の小指は切れて回路が見えていた。

リズは、小指をそっと隠した。

アレン 「ごめん…僕のせいで…」

リズ  「こんなの平気ですよ。気にしないでください。」

アレン 「…痛くないの?」

リズ  「お忘れですか?私はあくまでロボットです。」

アレン 「あっ…そっか…」

リズ  「…痛みは私には分かりかねます。これからもずっと。」

アレン 「…そうなんだね。怪我した場合、どうなるの?」

リズ  「ロボット修理工場に行けば、これくらいの怪我ならすぐに直してもらえます。ただ、これくらいであれば修理してもらわなくても平気です。」

アレン 「駄目だよ。そんなの駄目。自分を大切にしないと。」

リズ  「…では、アレン様にお願いできますか?」

リズは、薬箱から絆創膏を取り出した。

リズ  「お願いします。」

アレン 「でも、君はロボットだから絆創膏を貼っても自然には治らないよ?」

リズ  「良いのです。これくらい。」

アレン 「…仕方ないなぁ。来週、町に行くときには引っ張ってでも連れて行くからね?」

リズ  「町…」

リズはカレンダーを見た。

アレン 「忘れたの?来週は僕の誕生日。一緒に町に行く約束だったでしょ?」

リズ  「…町でないといけませんか?」

アレン 「町に行きたくない理由でもあるの?」

リズ  「あっ、いや…」

アレン 「…何?何を隠しているの?」

リズ  「…アレン様、申し訳ありません。ですが、私は修理工場に行くことはできません。これだけはお許しください。」

アレン 「…分かったよ。君が大丈夫ならそれで良い。」

アレンはそう言ってリズの指に絆創膏を貼った。

アレン 「…何か事情があるんだね。」

リズ  「…はい。ありがとうございます。」

アレン 「ううん。夕食にしてくれる?」

リズ  「はい。」

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