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心が生まれた瞬間  作者: 仙夏


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01

暗い部屋で開発された無数の人型ロボット。

この世界では、人間同士が争いを続け、人間の数は減少していた。

そこで、生き残った貴重な人間を守り、人間が生きやすい世界を作るため、ロボットを膨大に作成し、町のインフラ整備を始め、町の機能は全てロボットが担うように変化した。

そして、少数となった人間の中でも特に貴重とされたのが子どもたち。

子どもたちは親から離され、それぞれ家に軟禁されるようになった。

そして、ロボットはそれぞれの家に配置され、子どもの安全を守りサポートする使命を課される。


町の外れには、お屋敷があり、男の子が窓から外を眺めていた。

町からスーツを来た役人が数名とロボットの少女が訪れ、家のチャイムが鳴り響いた。

アレン 「…」

アレンがチャイムを無視していると、大人たちは家の鍵を開けて中に入ってアレンを探した。

役人  「いらっしゃったんですね。」

役人  「No.01様ですね。こちらがあなたのお世話係を担当します。No.3393です。」

アレン 「…じいやを返して。」

役人  「…では、失礼いたします。」


大人たちは出て行き、部屋にはアレンとロボットの少女だけが残った。

少女  「リズと申します。何でもお申し付けください。」

アレン 「…話し掛けないで。」

リズ  「かしこまりました。」

リズは静かにアレンの傍で佇んでいた。

アレン 「…消えてよ。僕に必要なのはじいやだけなんだから。」

リズ  「申し訳ありません。ご主人様から頼まれたことはどんなものであれ遂行するようプログラムされていますが、消えること、壊れることは自分からはできないようにされております。」

アレン 「…」

リズ  「そのほかの頼みごとは、何でも叶えます。気軽にお申し付けください。」

アレン 「…何でも?」

リズ  「はい。」

アレン 「…でも、僕を殺すことはできないんでしょ?」

リズ  「私は、ご主人様をお守りするために設計されました。ご主人様を傷付けることは一切いたしませんし、ご主人様を傷付けるものは絶対に許しません。」

アレン 「…あぁ、そう。」

リズ  「ご主人様をお守りするためならば、何でも叶えます。」

アレン 「…ご主人様って呼ばないで。僕を主人として良いのはじいやだけだ。」

リズ  「失礼いたしました。では、何とお呼びすればよろしいですか?」

アレン 「…良いよ、名前でも。何でも。」

リズ  「では、アレン様とお呼びいたします。私のこともリズとお呼びください。さぁ、アレン様。このリズにご指示を。」

アレン 「…」

リズ  「現在、時刻は朝の九時です。朝食は召し上がりましたか?」

アレン 「…昨日の夜、じいやを連れて行かれてから何も食べてない。」

リズ  「それはいけませんね。私が朝食をお作りいたします。」

リズは、キッチンに向かいすぐに朝食を作り、大きくて広いテーブルの上に朝食を並べた。

アレンが匂いに釣られてリビングに行くと、リズはアレンの椅子を引いた。

リズ  「アレン様、どうぞ。」

アレン 「…」

アレンは何も言わずに椅子に座り、朝食を見て少しずつ食べ始めた。

リズ  「いかがですか?」

アレン 「…何で…」

リズ  「どうされましたか?」

アレン 「…何で、じいやの料理と同じ味がするの…?」

リズ  「私たちにはお仕えする方の周りにいた大人の情報が全て含まれております。私にはアレン様の使用人をされていた方に関する全ての情報が組み込まれています。ですから、アレン様が前にしてもらっていたことを全てこれからは私がしてあげられます。」

アレン 「…それが大人のやり方?」

リズ  「意図はプログラムされていません。ですが、この組み込まれた情報を利用して、アレン様が望むのであれば、アレン様の使用人をされていた方と同じようにオムレツの形をアレン様が好きな形に変えることも可能です。」

アレンの家で使用人をしていたじいやは、毎朝、アレンのためにオムレツを星形にしていた。

アレン 「やめて。それだけはしないで…」

リズ  「はい。先ほどのアレン様の言動からそれが最適解だと判断し、オムレツの形は一般的なものに留めました。これからもそういたします。」

アレン 「…」


朝食を食べ終えると、アレンの勉強タイムが始まった。

リズ  「では、アレン様。次の問題です。」

リズは、アレンの向かい側で数学の問題を出した。

アレン 「…分かんない。」

リズ  「私のプラグラムでは、アレン様はこの問題に類似した問題を一週間前に正解されています。数字が変わっただけですよ。アレン様なら解けるはずです。」

アレン 「…そんなことまで知ってるの?」

リズ  「これまでのアレン様のことは全て知っています。」

アレン 「…面白くない。」

リズ  「これまでのことは全て知っていますが、これからのアレン様のことは私しか把握できません。ですので、何でもリズには話してください。」

アレン 「…」

アレンが問題を解くとリズは手で丸を作った。

リズ  「正解です。さすが、アレン様。では、次の問題です。」

アレン 「ねぇ。」

リズ  「どうかされましたか?」

アレン 「…どうして僕に君が付くことになったの?もっと強靭なロボットが来るのかと思ってた。じいやのコピーのような振る舞いをするなら尚更。どうして女の子の君なの?」

リズ  「アレン様はこの世界でも有数な第一級階級に属されております。アレン様はその中でも貴重な存在とされております。」

アレン 「知ってるよ。僕は、この世界でも天才と言われた両親から生まれた。頭脳も親譲りのものだ。しようと思えば、ここから脱出することだって簡単にできる。だから、何でそんな僕に付いたのが君なのか聞いてるんだよ。」

リズ  「私はアレン様を担当するために作られた巧妙なロボットです。頭脳、身体能力、全てにおいて試験でも最高位のロボットだと評価されております。ご安心ください。」

アレン 「…僕が君を壊すかもよ?」

リズ  「そのときは、アレン様に危険が及ばぬように壊されます。」

アレン 「…壊されることに抵抗はないの?」

リズ  「私のプログラムは自分から壊れることを禁止されているだけです。壊されることは禁止されていません。壊されることに抵抗すればアレン様に危険が及ぶ可能性もありますし。」

アレン 「…そう。」

リズ  「では、お勉強を続けましょう。」

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