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Line1 自尽する逸脱者

注意!Caution!

この話にはダーク要素とグロシーンがあります。

苦手な方は、ご拝読をお控えくださいませ。

 「…もう7時か。」右手首につけてある腕時計を、さっき出てきた薬局内の灯りを

頼りに見ながらボソッとつぶやいた。

夜空とも昼空ともとれぬ天空を見上げながら、たそがれる。

こう思い返してみると実に私は世間から排されるべき人間だったのだろうと思う。


坂米さかめ せい 26歳 男 独身

悪いこともせず、かといって良いこともしていない。

褒められることもない、ただし貶されることだけはある。

昔から人と合わせるのが苦手で、合わせようとしても、どこか齟齬が生まれる。

要はごく普通の()()()()である。


ふと道路の方向に目を向けると子供が道路に飛び出している。

そしてすぐ目の前にはトラックが迫っている。

「プァーー」

トラックのクラクションが鳴り響く。


「キーッ、ドン」



―あたり一面が真っ赤に染まる。

通行人たちはパシャパシャと写真を撮る。

「もうおれのじんせーおわったぁ!」とトラック運転手の声が聞こえる。

早く助けろよ。

母親らしき人が子供を庇おうとしたのだろうが、無駄だった。

子供の頭からは大量に出血し、母親の体はぐちゃぐちゃに折れ曲がっていた。


―私は一応、写真を撮ってから帰路につくことにした。

馬鹿なことをする人間がいるものだ。

自分以外の人間なんて放っておけばいいものを。

そういう「自己犠牲」だとか「愛の力」だとか言ってるやつらの気が知れない。

いやなものを見た。


「ただいまー。」

誰もいるわけがないが、実家にいたころの名残でいつも家に帰ると独り言のように

言ってしまう。

1LDKの部屋が空しく声をこだまさせた。

ビニール袋を広げ、薬局からもらった薬を紙袋から取り出す。

フルボキサミン。なんでも精神を落ち着ける作用があるらしい。

1か月分の錠剤が入っている。

「……これ、一気に飲んだら楽になれるかなぁ。」


―パキッ、パキッ、パキッ。

錠剤を殻から1個ずつ取り出していく。

パキッ、パキッ、パキッ。

いちいち音を出すたびに反響するのだからこの部屋はうざったい。

家賃だけは高いくせに。

パキッパキッパキッ。

最後の方になると慣れからか手際が良くなった。

机の上には白い錠剤の山ができていた。

こうして致死量の薬剤が目の前に広がっているのに、不安や恐怖を感じない。

むしろ安心さえ感じる。

そうだ、ようやっと楽になれる。おさらばできるのだ。

「よし!」

ゴクッゴクッ。

一か月分なだけあって、飲むのにはかなり手間がかかった。

そしてようやっと最後の一錠を飲み干した。

「これで死ねませんでしたじゃ、おもしろくないよなぁ。」

そういいながら、最期の寝床の準備を整えて、布団にくるまった。

自分の体温で、冷えていた布団がだんだんと温かくなって心地よくなっていく。

これが最期ならば、悪くはないかもしれない。

「さようなら、私を必要としない世界。」





目が覚めた。

「っち。なんだよ。面白くないって言っただろう…が…。」

天井が、見知らぬ天井に代わっている。

しかも、現代風の真っ白い無機質な天井ではなく、昔なつかしの和風木造建築である。

さらに寝床が布団からベッド、しかも病床のパイプベッドに代わっている。

「これは一体どういうことだ…」

寝床から体を起こし、周囲の状況を観察する。

周りにはほかのベッドやそこに横たわる人間どもが多数いた。

どうやら、古い造りの病院のようである。

しかし病院のベッドなのにナースコールが備え付けられていないとは。

どうにかして看護師を呼びたいものだが…とそう考えているうちに看護師が来た。

頭にナース帽をかぶって白いナース服を着て…。いかにもな看護師だ。

「あのー…」

「はい!なんでしょう?」

明るい笑顔が私に突き刺さる。

「…ここってどこです?」

「どこって、病院ですけど。」

そんなことは見てわかる。もういい。

「…どのぐらい寝てましたか?」

「どのぐらい…すみません。私はあなたの担当ではないので詳しくはわかりませんが…」



「現在は千九百十三年、五月二十九日です。」

いかがだったでしょうか。

初心者、かつ初投稿で、ちょっとした好奇心で初めてみました。

もともとプロット自体は頭の中にはあったので、「いつか書いてみたいなぁ」と

思っていたところ、「小説家になろう」を知って、「エイヤ!」という気持ちで書いてみました。

どうせなら、完結まで行ってみたいですね。

最近多忙だからどうかしら…(笑)

意見等ありましたらご気軽にコメントいただけると幸いです。

(コメント機能ってあるのかな…。わかんないけど。)

始めたてなもので、稚拙かつひねくれた文ではありますが、今後とも是非お付き合いください。

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