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 予想以上にステータスが上がっていた。


 そもそも、ゲームの知識では、ヒロインたちは最初の戦闘でレベルが1上がり、基礎ステータスは平均5くらいしか上がっていなかった。

 …レベルが低い時のレベルアップでは、あんまり基礎ステータスは上がらないはずなんだけどなぁ?

 さすが『成長補正(レベル♾️)としかいいようがない。


 というか、あの謎の現象は未来予知か!

 これ、やばいスキルでしょ、絶対。逆になんで取得できたのかが気になる。



 でも、強くなったからと言って、あまり天狗にならないようにしよう。

 自分の能力を過信するから、今回のようなことが起きたんだ。もっと慎重に行動していたら死にかけることにはならなかった。

 よし、これからは謙虚に生きよう。



 魔力が回復するまで木の上に身を隠し、回復し終わったら魔獣を狩りに出かける。

 もう危ない目には合わなかった。

 私はそのまま半月ほど魔獣を狩り、時にスキルを磨き、時にドッペルゲンガーと視界を共有して授業を受けた。


 そしてレベルが30になった今日、久しぶりに屋敷に帰る。






 魔獣の森から出ると、星空が見える。

 久しぶりに見える空に、感動で涙が出そうになる。ほら、魔獣の森ってずっと曇りだからさ……。


 そして、気配を消して屋敷に侵入。半月ずっと気配を消し続けたおかげで、プロ並みの気配の消し方になった気がする。プロがどれだけ気配を消すのが上手いのか知らないけど。


 そして、重点的に伸ばし、新たに覚えた『風魔法レベル8:飛翔』で私の部屋の窓に到着。さらに、スキル『結界』を覚えた時に、面白くて結界を何回も通り抜け出たら覚えた『透過』を使って、窓をすり抜ける。


 ただいま、我が家。






 帰ってすぐ、シャワーを浴びる。

 半月間、水魔法で水浴びはしてたとはいえ、気分的に気持ち悪かった。

 ……うわ、髪がちょっとパサついているし、肌も若干荒れてる。最悪だ。


 そして風呂から上がったらドレスを着る。

 ……うん、なんか久しぶりだ。すごく動きづらい。


 そしてドッペルゲンガーは消した。見つかって、お嬢様が2人いる!?ってなったら面倒だし。


 こうして私とドッペルゲンガーは入れ替わり、元の日常が再び始まるのであった。





 2日後の、午前8時くらい。

 気持ちよく寝ていたところを、メイドの足音で起こされる。

 なんか、森で過ごしたせいか、レベルが上がったせいかはわからないけど、聴力が良くなった気がするんだよね。あと、ちょっとの気配が気になっちゃう。

 だから、気配や音で夜中とかに時々起きたりする。迷惑だから、夜は私の部屋に近づかないでほしい。本当に切実な願いである。


 でも、今日はちょっとメイドが来るのが早い気がする。いつもは大体9時から10時の間に起こしにくるんだよね。どうしたんだろ。


 メイドの足音は私の部屋の前で止まり、コンコンッとノックの音がしたので、

「どうぞ」

と声をかける。


 ドアが開き、メイドが入ってきた。

 ……?何だろう、メイドの様子がいつもと違う気がする。なんか、緊張してる?

 するとメイドはその様子のまま口を開いた。


「おはようございますお嬢様。起こしてしまい申し訳ございません。

 至急、お耳に入れたいことがございます。

 ……どうやら、ご主人様と奥様が5日後、本邸にお帰りになるそうです」



 ごしゅじんさま?っていうのは、このメイドの主人、つまり上司ってことだよね?

 えっと、メイドを雇うのは侯爵……え?


 お父様が帰ってくるの?







 私は部屋の窓から、庭で侯爵邸の人たちが忙しそうに動き回っているのを眺めている。

 そりゃそうだ。久しぶりに主人が家に戻るんだから。

 リエラルオーティの記憶によると、私が最後に父と母に会ったのは一年前くらいかな?

 まぁその時もあまり会話などはしなかったから、会ったと言えるのかは怪しいけど。


 私は現在、ドレスを着さされては他のドレスに着替えさせられている。

 どうやら、父と母に会う時のドレスを選ぶためみたいだ。

 私は正直言って誰でもいいんだけどなぁ……。でも、そんなことを言っても周りでドレス選びに燃えているメイドたちは聞いてくれないだろうし。

 あきらめて着せ替え人形になる私であった。



 着せ替えられている間に私の両親について説明しておこう。

 私の両親の名前は…………えっと……なんだっけな……、忘れた。

 だって、父とかお父様とか呼んでたんだもん。ゲームでも名前は出てこないし。


 で、お父様とお母様がいつも王都の侯爵邸にいない理由だが、それは彼らが普段は領地で他国と外交をやっているからである。

 えっと、確かこの国――ルベル王国は、ゼロスタ帝国とマゼンダ公国、アジェスト王国と接しているんだったかな?

 で、うちの領地……ベナティア領は、ゼロスタ帝国と接している。

 ゼロスタ帝国の皇帝とルベル王国の王様が友達なのもあって、お父様たちは非常にいい外交ができているらしい。


 あ、でも、マゼンダ公国の話は聞かないけど、アジェスタ王国はゲームで近い将来戦争を起こしてたな。たしか、ルベル王国の勝利で終わった気がする。


 そこはゲームと違っていれば嬉しいんだけど。

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