表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/20

4


 ……やっと見つけた!


 私は大体1時間くらい本をあさり続けた。

 だって図書館、前世の公立図書館ほど大きくないものの、本の分類がされてないんだもん…。

 どうやらここの司書さんもバラバラの本の種類を直す気は無いらしい。チラッとこちらに視線は向けたけど、再び手元の本に目線を落としてた。

 手伝ってよ…。

 探すの、とっても大変だった…。



 まぁ無事見つかったからいいとして。


 メイドと騎士は入口にいて、司書さんはカウンターにいる。そして、その他には誰もいない。

 よって、本棚と本棚の間にあった椅子に座り、小さめのテーブルに本を置く。


 タイトルは――『魔法のつかいかた〜初級魔法編〜』


 それっぽいのキターーー!


 これぞ異世界って感じの本だ。


 早速一ページ目を開いてみる。

 どれどれ……


『魔法とは、神によって与えられた、奇跡を起こす力だと言われている。

 魔法を使うためには魔力が必要であり、またその魔力を感じる力も必要である』


 おぉ……ファンタジー……!


 …言い換えれば、抽象的すぎる。



 まず魔力ってどう感じ取ればいいの?

 ステータスパネルにはMPが書かれているから、今の私でも多分魔力は持っているはずなのだ。


 うーん、ここはそれっぽく、座禅でも組んで集中してみようか。




 ……十分後。


 ……うん?なんか、体があったかくなってきた気がする。

 もしかして、これが魔力か?

 今は、身体中が、均一に魔力で満ちている。

 そして、それを動かそうとすると……身体の中をぐるぐる回りはじめた。

 何だか、血液と似た感じで、巡っている感じがする。


 一度魔力を感じ取れたら動かすのも簡単になった。ずっとグルグルさせれそう。


 ……えっと、これをどうすればいいの?


 私は魔力をグルグルさせながら本をめくり、続きを読む。



『そして、魔力を動かして手に集め、使いたい魔法名を叫ぶのである。

 そうすることで、魔力に何の魔法を使いたいかという意思が伝わり、奇跡を起こすのだ』



 ……この本の作者は、私に図書館で叫べと申すか。


 魔力を巡らせるのはやめて、手に集めるのは簡単だ。

 だが、叫ぶのか……。もし叫んだ場合、魔法を使ったことがメイドや司書さん、騎士たちにバレるだろうし…そうなれば、彼らは上司にこのことを報告するだろう。最終的には、お父様に報告が行くはずだ。


 でも、まだ父親が味方って決まったわけではないからなぁ……。

 なんか、そんなに愛情を感じない気がするんだよね。

 例えば、前世を思い出す原因となった、頭を打った事があったじゃん?

 でも、その時に心配してくれたのはメイドだけ。しかも、まだその時から父親と会ってすら無いんだよ?もちろん母親とも。


 もし子供のことを少しでも愛しているなら、会いに来るのが筋だと思うんだけどなぁ……。



 って、めっちゃ話がそれてた。

 今はそんなこと忘れて、魔法のことに集中しよう。


 ……で?何を考えてたんだっけ?

 …………あぁ、魔法名叫ばなきゃって話だよね。


 叫ばないで魔法を発動させる方法はないのだろうか?

 たとえば、無詠唱で使うとか……。


 ……無詠唱、か。

 できないかな?

 だって結局、魔力に意思を伝えるんでしょ?

 魔力は、もともと自分の体の中を巡っていたものだ。

 ならば、私達人間が脳から手足に動けという命令を下すように、魔力へ意思を伝えれるんじゃないかな?


 とりあえずやってみるか。


 本をさらにめくると、各属性の魔法の名前が、低レベル順に乗っていた。


 図書館で使っても無害そうな魔法……これかな?


『風魔法レベル1:そよかぜ』



 ヒュウ………。




 ……え、今風吹いたよね?吹いたね!?


 ………やばい、ニヤケ顔が止まらん。

 魔法が使えたということがうれしすぎる……!!!

 何なら小躍りしたい気分だ。やらないけど。


 必死に表情を制御しようとしていると、ピコンッという音が聞こえて、目の前に半透明の青パネルが出てくる。


『習得:風魔法(レベル1)』


 ……え?なんか増えたってこと?

 慌ててステータスパネルを開く。


 そして上から目を通していき、スキル欄の下を見ると…


『魔法:風魔法(レベル1)』


 魔法欄が増えてる……!!!


 喜びを感じるとともに、違和感も感じる。

 たしかゲームでは、ヒロインたちは魔法を使ってたけど、スキル欄の下には、属性欄があって、そこに『光』とか書かれてた気がしたんだけど……。


 まぁ、気にしてもしょうがないのかもしれない。

 乙女ゲームは、あくまでも『ゲーム』なのだ。

 ゲームと現実とでは、違うところもあるはずだ。


 だからこの話は置いといて、新しい魔法を増やそうじゃないか!


 私はそれから、その本に書いてあったレベル1の魔法はすべて覚え、更に新しい本を探し、火魔法、水魔法、土魔法、光魔法、闇魔法、植物魔法、精神魔法、そして最初に覚えた風魔法を合わせて、合計8個の魔法を手に入れることができたのであった。


 あ、流石に火魔法とかは、すごく魔力を少なくして使ったよ。火事になるのは嫌だし。


 でも、それのお陰でスキルに『魔力節約(レベル1)が生えてきた。

 嬉しい誤算だ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ