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恋人は謎多き冒険者  作者: 七夜かなた
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第2章-9

次の日の朝、マリベルが支度をして仕事に出かけようと部屋を出ると、ちょうどフェルも部屋を出てきたところだった。


「おはようございます」

「お、おふぁひょ」


慌てて舌を噛んでいるフェルが可笑しくて、クスリと笑った。

父が亡くなってからから自然と笑えるようになったのは、初めてだった。


「今日の予定は?」

「ギルドへ依頼を確認に」

「そうですか。一緒に行きましょう言いたいところですが、受付が始まるまでまだ早いですね」


マリベルの出勤時間は受付開始の三十分前まで。一緒に出てもフェルはすぐに入ることは出来ないため、ギルドが開くまで待たなくてはいけない。


「大丈夫、どこかで時間をつぶすから」

「そうですか。じゃあ途中まで一緒に行きましょう」


何だかホントの恋人同士みたいだと思いながら、二人でアパートを出た。


「フェルさんって、冒険者以外の仕事ってしているのですか?」

「……親の仕事を継いだ」

「それって前に言っていた方の?」

「そうだ」

「じゃあ、そっちの仕事で儲かっているんですね。クロステルに泊まれるくらいだから」

「いくら貰っているか確認したことはない。でも他に使い道もないから多分たくさん残っていると思う」

「え、お給金がいくら知らないんですか?」

「それは管理してくれる人がいるから任せている」

「へ、ヘえ…」


使用人がいるということだろうか。と、なればやはりお金持ちのお坊ちゃんなのか。


「でもこっちに居るということは、そのお家の仕事は、どうされるんですか?」

「暫く休むことにした。ずっと休みを取っていなかったから。休めと言われていたし」

「大丈夫なんですか?」

「……多分」


あまり根掘り葉掘り聞いても悪いかと、マリベルも尋ねるのを控えたが、謎は深まるばかりだ。


ギルドの裏口でフェルと別れて中に入ると、キャシーが話しかけてきた。


「見たわよ、二人仲良く朝から一緒に歩いてきたの」

「た、たまたまよ」

「ふうん、でも彼ってすぐに何処か他所へ行っちゃうよね。大丈夫なの?」

「今度は暫くこの街にいるそうよ」

「え、それってマリベルのため?」

「違うと思うけど」


そう言えば、今回は長期でこの街にいる理由を聞いていなかったと思った。

家業を暫く休むと言っていたし、休暇を兼ねての滞在なんだろう。


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