プロローグ
唐突だが、俺は転生した。
それも、前世でありがちなファンタジー世界だ。前世ではファンタジーなんて単なる絵空事、非現実でしか無かったが、今となっては確かな現実となってしまった。
20年前の今日、俺はこの世界で新たな生を受けた。といっても、女神様が俺に使命を与えた訳でもないし、そもそも神なんてものにあったことは無い。つまり、気づいたら転生してたわけだ。
俺は確かに前世なる記憶をもって新たな人生を歩み始めた。両親はそこそこ高名な冒険者で、お金もあった。余裕もあった。よくある物語の中、全てハッピーエンドで終わると思ってたんだ。
けど違った。ファンタジーな世界。それは疑いようもなく確かだった、魔法も使えるし、信じられないくらいの身体能力を持つ戦士もいた。それと前世の記憶も相まってか、俺は中世という時代を舐めてた。
残酷だった。崩れる時は一瞬で、太刀打ち出来ない。前世で当たり前に救えた命が、この世界では為す術なく散っていく。改めて言おう、この世界はどうしようもなく残酷で、冷酷だ。
100を救うことは出来ない。なら、せめて。自分の周りの1だけでもいいから救いたい。その一心で魔法を学んだ。幸い、母は一流の魔法使いで聡明な人だった。母に魔法を習った。そうしているうち、いつしか俺は天才魔法少女と呼ばれるようになった。正直やめて欲しい。
魔法を学び始めていくつかの季節が去った頃、俺は剣を学び始めた。高名な剣術士である父を師として、俺はメキメキと力をつけ、いつしか地元で俺の右に出るものはいなくなっていた。
そんな俺はいつしか、100年に1人の天才だとか、神童とか、そういうように呼ばれるようになった。それからなんやかんやあって今は旅人をしている。なんやかんやの内容は聞かないでくれ。
そして今、俺はランジェリーショップに来ている。ちなみに俺に彼女ができたことは無いし、女の子とデートに行ったこともない。では何故そんなところにいるのかと言うと……
「だから何回測っても胸のサイズは変わりませんって」
「うるさい!!」
俺が女として生を受けてしまったからだ。