火垂るの丘 妖秘技 落下星
ここは、火垂るの丘。今は一面氷の世界、雪が降り寒くて凍えそうだ!
さんぺいは、目の前に温泉があると言って「あらよ!」と温泉に飛び込んだ。
「ひとっ風呂浴びるっぺ!いい湯だっぺ、みんな来いっぺよ」
ところが、たちまち温泉は凍りつき、さんぺいの身体もカチカチに凍らされてしまった。
「やられた! 罠だぁ・・・」
氷上に立つ雪女マジョウレが従えている巨大な妖白熊が翔太たちに襲いかかろうとしている。
翔太は影絵で三匹の狼を作った。
「ガルゥガルゥゥ・・・」
妖影狼は一斉に妖白熊に襲いかかり手足に噛みついた。
妖白熊の動きが止まる。
マジョウレが氷雪玉を放った。
翔太、たかと、ナーニと次々に命中して身体が半分凍りついてしまった。
「ウゥゥ・・身動きがとれない・・・」
あるよは、両方の下駄に包丁をつけて氷の上を氷雪玉を避けながら滑る。
「すごい!まるで、スケート選手みたいだ!」
こんどは、おしゃもで氷雪玉を打ち返す。
「こんどは、卓球選手みたいだ!」
あるよは、更に3回転ジャンプをして氷雪玉を打ち返す。
「サー・・いくわよ! 火垂る玉よ!」
あるよの放った火垂る玉がマジョウレに命中した!
「ウォォ・・アッアツイ」
マジョウレは、うずくまり身体は解けてしまった。
あるよが、近くまで見に行くと
「ギェヘヘ・・・ひっかっかたな」マジョウレがニヤリと笑った。
「ガァガァギィギィギィ・・・」
あるよの周りの氷が持ち上がり、包み込む。
「わぁあ・・かまくらみたいだ。だっ、だけど・・出口がない!閉じ込められたわ・・・」
あるよは、瞑想に入って呪文を唱えた。
「天の星々よ、われと共に邪悪な者に天罰を!
妖秘技。落下星!」
空が茜色に染まる。
「シャーゴォーズドォーン!!」
真っ赤に燃えた小隕石が、妖白熊と雪女マジョウレに命中した。
「アッアツイ・・クックルシイ・・・虎狼狸様ぁ~」
マジュウレの妖術も解かれ、穏やかな顔の貴婦人と変わる。
火垂るの丘一面に張っていた氷も溶け、美しい草原の丘となった。
貴婦人横には 火の心魂玉が置いてあった。
翔太たちも、駆け寄ってきた。
「やったー!これで、火・風・水・雷・土 の心魂玉を全部取り返したぞ!
よしっ!みんな帰るぞ!」
急いで元気村に帰り、回復和尚に五つの心魂玉を渡す。
「よく無事に帰ったな! あぁ・・みんな、よくやったわい!」
和尚が不死鳥の胸の穴に五つの心魂玉をはめこむ。
すると不死鳥は生気を取戻し、今にも飛び出しそうだ!
「後はみんなの気持ちを一つにして起動呪文を解読して唱えよ。
最大の危険が迫った時には翔太の元に向かうであろうぞ!」
起動呪文『わこれととろもにみらりいんにむんけてりろとろびたこて
魔を取り払い念じよ!さすれば、我は復活する。』
回復和尚は翔太に呪文の解読を依頼した。
翌朝、遠山先生と看護師の大岡さんが一緒に診察に来た。
「山田幸子ちゃん、喘息発作もおきなくなったし、
満くんも武くんも順調に回復しているし、退院予定も決めないとな。
そうそう 翔太くんも手術は回避できそうだな!」
「やった!」みんな、嬉しくて笑っている。
「雪女」は、日本の伝承やようかいばなしに登場する妖怪の一種で、美しい女性の姿をした妖怪のことを指します。白く長くつやのある着物を着用し、銀髪・銀肌で冷たい存在とされています。雪や吹雪の中を徘徊し、不思議な力を持っているとされています。また、恋愛関係にも言及されることがあり、心優しく、義理堅い雪女もいるとされています。