水晶の湖 屁の河童さんぺい
翌晩、翔太は風鈴の森を出て看板地点に戻った。
看板を見るとこの日は左を向いている。
道を進んだ先の看板には、キュウリの絵が描いてあった。
水晶の湖に着いた。湖の周りには、シビレ草がはえている。
草の中には埴輪が何体も置かれていた。
翔太は、ひときわ背の高い埴輪が泣いているようで妙に気になった。
翔太達は、水晶の湖を渡って先に進むことにした。
湖に浮かぶ丸い石の足場、翔太は慎重に足場を伝い、湖の中心まで進む
右足を7つ目の足場に足をかけた瞬間、
足場が沈み身体ごと湖に引き込まれた。
「ゴボゥ・・ゴボゥボ・・・」
(暗い湖の中、僕は泳げないし呼吸もできない。
このまま 死んでしまうのか・・・)
意識がない中、口に何か突っ込まれた
(あれぇ、呼吸ができるぞ!)
口の中の物はキュウリだった。(酸素ボンベになっているのか・・・)
目の前には、頭には皿、背中には甲羅、手に水かき、緑の身体の…
「わあぁ・・・河童だぁ・・・」
「おらは、さんぺい。何があっても、屁の河童っぺ。
おめえ、泳げないっぺ 」
さんぺいは、手のかきかたから足の使い方まで丁寧に教えてくれた。
翔太が泳げるようになって岸に上がると・・。
「翔太くん、大丈夫なの?」
心配して、あるよとナーニが駆け寄ってきた。
すると、たかととさんぺいが、睨み合っている。
「よぉ 久しぶりだな、エロ河童っぱ」
「おめえこそな、ドジ天狗っぺ」
あるよが、怒って呪文をとなえる。
「あなたたち、言い争いはやめなさい!天罰!!」
天からタライが落ちけ来て二人に直撃した。
その時、湖の水が突然油に変わり悪臭が漂い、中からでっぷり太った半漁人が現れた。
ヒゲソリで、わき毛を剃りながら歌いだした。
「いぇ~い!妖怪界のプリンス、マッチョの『ギンギマギンにわき毛なく』聞いてくれ!
ゾリッと剃ったら!スカッと爽快、カイカン!いぇ~い!」
「おい、さんぺい…あの変態おやじ何だっぱ・・・」
「半魚人のライジャ、手ごわい、おやじだっぺ。
虎狼狸に呪われる前は居酒屋『竜宮』の、おやじさんだっぺ」
ライジャが、油の湖の中から妖魚ギマの大群を呼び出し翔太たちを襲わせた。
「あのギマの歯やトゲは毒っぺ。気をつけるっぺ!
刺されると、しびれて動けなくなるっぺよ!」
今度は、さんぺいが、マイクを持って歌いだした。
「妖怪界のプリンスといえば、ドジちゃんだっぺ!」
「一本でも、すっぽん す~ぽん♪ 二本でも、すっぽん す~ぽん♪
「いやぁ~ん」
すると、お股に葉っぱをつけた、吸い付いたら離さないすっぽんの大群が現れた。
「だけど・・・あの油の湖では、滑って動きがとれないっぺ・・・」
さんぺいの言葉を聞いて、翔太は不思議な店で買った、油取り紙を取り出して湖の油を吸い取った。
「よっしゃ!すっっぽんたち、ギマの吸い付き動きを止めるっぺ
たかと! おらに向かって、葉っぱのうちわの風でおすっぺ!
新必殺!屁っ跳び、さんぺい くらえっぺ!」
さんぺいの尻から膨大なガスと爆発音が響き、さんぺいは
超高速で水の上を飛んでいった。そのままライジャの鋼鉄のウロコに体当たり!
「ぐわっぐぉぉ・・・」
うずくまっている、ライジャ。
するとさんぺいは、腹の中で凝縮した屁を手でつかみ、
「くらえ! 悶絶にぎりっ屁だっぺ」
ライジャの目の前で手を開いた。すると、ライジャは白目をむいて気絶した。
すかさずあるよがお清め薬をふりかけて呪いを解く。
青色の水の心魂玉が、身体から出てきた。
ライジャは元の居酒屋『竜宮』のおやじさんの姿に戻った。
水晶の湖は依然の美しい清らかな湖となり、周りに草にも綺麗な花が咲きだした。
「あれっ! ひときわ背の高い埴輪が笑って歌っているよ。」
『若葉よ~♪ 若葉よ~♪』
「あっ武くんだ・・・」
「そうよ、武くんのボイス魂の入った埴輪は、浄化されたよ。」
「もう大丈夫だよ! 武くんは、健康体になれるよ!」
あるよは、「やったね」と言って笑った。
河童は、日本の民間伝承にする、登場する川や池などの水辺に棲むとされる妖怪の一種です。身体は小柄で、青い肌を持ち、頭には網目模様のある帽子をかぶっています。特徴的なのは「三枚目」と呼ばれる広い口と、尾の先に傘をさしたような形をした「屁扇子」という器官を持っていることです。河童は昔から、人々が水辺での事故を避けるための言い伝えの中で重要な役割を果たしてきました。
また、河童が人間に悪戯をすることもあるため、彼らを騙したり、気を引いたりする技も伝えられています。
「半魚人」とは、魚のような下半身と人間のような上半身を持つ伝説上の生物のことを指します。古代ギリシャの神話では、海の女神アフロディーテが愛した美少年が海に落ちた際に、魚の尾を与えて救ったとされています。また、日本の伝承でも「人魚」として知られており、漁師たちが海で出会ったという話が昔から語り継がれています。