風鈴の森 ガッテングたかと
店を出て1時間歩くと道が二方向に分れ、看板が書いてある。
「右の道は怖いぞ!左の道は危ないぞ!
さぁ~さぁ~どっち行く」
突然、看板が回り始めて右の方向を指す、助けをもとめる方向に看板が動くようだ。
山を下り森の中に入る。霧の深い森
看板には、風鈴の絵が描いてあった。
ここは風鈴の森、木々には色とりどりの風鈴が掛けられている。
あちらこちらから風鈴の音が鳴り響く森。
(しかし・・・)
今は風もさえぎられ霧が、たちこめた邪悪な森
前から人の気配、大勢の人が歩いている。
慌てて僕らは茂みに隠れる。
通りすぎて、ほっとしていると
するすると伸びてきた木のつるが、足に巻きついた
大樹に逆さにつるされ身動きが取れない。
あるよとナーニの姿が見えない。
「お前は何者だっぱ! どこから来たっぱ!」
「僕は翔太、元気寺から来た」
「へぇ~ 回復和尚の弟子っぱか」
声の主が僕の前に現れた。
「俺は、ガッテングたかと、だっぱ
あるよとは、幼なじみだっぱ」
葉っぱの、うちわを持ち、短めの鼻赤い顔の子供の天狗だった。
足に巻かれた、つるは外された。
「我ら天狗一族は、般若一族によって顔を奪われたっぱ!」
以前は、仲よく暮らしていたんだっぱ ある日、虎狼狸が現れた。
般若一族の長、はんにゃに呪いをかけたっぱ
天狗一族の顔を、奪ったっぱ
俺は、はんにゃを倒し皆んなを助けたいっぱ!」
森の中から、あるよが現れて籠にリンゴをつめて差し出した。
「食べては、ダメにゃ
あるよは、偽物!、それは毒リンゴにゃ」
ナーニは、毛を逆立て、偽あるよを睨みつけた。
「お前は、はんにゃだな!あるよはどこにいるっぱ!」
「ひゃひゃ、風鈴の木に縛り付けてあるひゃ!」
「あるよを、助けるっぱ!」
たかとは手に持った、葉っぱのうちわを振りかざし竜巻を起こした。
はんにゃは笛を吹き呪いの音波で、身の丈3メートルはある夜叉猿を操る。
竜巻も反ねとばされる
「奴は、凶暴で力が強いっぱ!逃げろっぱ!」
翔太とナーニは、木の上に登った。
夜叉猿は、木々をなぎ倒し翔太とナーニの隠れる場所さえも奪う!
地面に落ちた翔太めがけ、夜叉猿が飛びかかってきた。
「あぶにゃい!夜叉猿!くらえ!電撃にゃ」
「ピカッビビビピカッ」
瞬間、夜叉猿の動きが止まる。
翔太は影絵で竜を作った。
「いでよ!かげろう」
「皆んな影竜の背中に乗れよ!上空に舞い上がれ!」
不思議な店で買った風車を、たかとに渡した。
「たかと!天狗のうちわで風車を向けて竜巻おこせ!」
風車の増強により10倍に巨大化した竜巻
「ゴォービュビュビュ~ン」
影竜が舞い雨雲を呼び寄せた。
「いまだ! 竜巻の中に落雷だ!!」
「ゴロゴロ~ビカッカ~ゴォービュビュビュ~ン」
竜巻の中を、らせん状の落雷!カマイタチが発生!
「ウ〜グォ〜バキバキ」
悲鳴あげる夜叉猿
はんにゃも危険を感じ分身の術を使い、幻惑し本体を分らなくする。
影竜が、はんにゃ何体にも攻撃した。
次々と消滅してしまった。
「本体は、笛を持ってる、はんにゃだっぱ!」
「見つけたぞ!いまだ! 竜巻落雷!」
ウ~グォ~バキバキ」はんにゃの面が割れた。
浄化され、中から緑色の風の心魂玉が出てきた。
あるよも解放された。
はんにゃにお清め薬を塗り付け
虎狼狸の呪いが解ける。
天狗一族の顔も元に戻った。
「助けてくれて、ありがとう感謝いたす。
お礼じゃ!天狗一族に伝わる秘伝のお灸じゃ
持って行いきなされ」
糖の吸収を抑え、膵臓機能を改善するお灸
「ありがとう、これで満くんも治るといいな。」
太陽が森を照らし、風が吹き森の風鈴が鳴り響く美しい森が蘇る。
たかとは、風のように早く走り高く飛ぶ、まるで忍者のようだ!
翔太は、たかとと一緒に修行した。
病棟に戻ったら、翔太は車椅子なしで歩けるようになっていた。
「逞しくなったね!翔太くん
それに、満くんもお灸がきいて発作もおこらない。
ありがとう翔太くん」
看護師の大岡さんは、にっこり微笑んだ。
天狗とは、民俗信仰において、山岳信仰に関連した、鳥面や猿面を持ち、翼を持った、不思議な力を持つとされる妖怪の一種です。また、歴史上のモデルにした天狗伝説もあります。
天狗は、妖怪の中でもちめいどがたかく、日本の文化やげいじゅつさくひんなどにも登場しています。
般若とは、仏教において、本質を悟り得た智慧、あるいはその智慧を表現する能力を指します。また、密教では、真実を唱えることによって般若の智慧を得るとされています。般若経という経典があり、一般的には大乗仏教の教えにおいて重要な役割を担っています。
「夜叉猿」とは、日本の伝承や妖怪物語に登場する、猿のような姿をした妖怪です。外見上は野猿に似ていますが、人語を解し、鉄砲や刀などの武器を使用することができます。また、霊力や怪力も非常に強く、人間を襲うこともあります。妖怪の中でも特に恐ろしい存在とされています。