妖怪園 てん園長
雷光の谷をあとにして、一山超えると古びた小道具屋があった。
店の前で、おばあさんが鼻に割箸を突っ込み顎を突き出して言った。
「何か、妖怪ぃ~ん」
不思議な店だ。『なんだって』と看板がある。
「見るだけ、無料だよ~
ほしけりゃ買って毛だらけ、猫灰だらけ、隣のじじいは、クソだらけ
珍品、変品、まがい品いっぴゃぁあるでよ~。ふぉふぉふへぇ・・・」
おばあさんの入れ歯が落ちた。
「おもしろいおばあちゃんだな~」
小さな店だけど、あちらこちらに変わったものが売っている。
「お客さん、ここから先は二方向に分かれているだよ~
一つは、はんにゃのいる風鈴の森、もう一つは、ライジャのいる水晶の湖・・。
どっちも危険だよ~!これ、買っていきなよ!必ず役にたつからよ~」
そういっておばあさんが翔太に手渡したのが、風車と油取り紙。二つで100妖銭。
「高いから30妖銭にまけなさい!」
「なんだって?えぇ〜なんだって?」
「聞えんふりするなぁ~!」
「かないまへんな~、よっしゃ50妖銭でどや!」
「わかったわ、おまけに携帯ランプもつけてね!」
「出血大サービスやわぁ!笑劇場と妖怪園のチケット2枚もつけたるよ~」
「わぁ、ありがとう!」
不思議な店の裏は、牧場になっていて、中に笑劇場がある。
看板に、『たわけ殿ごりっぷく【満員御礼】(まんいんおんれい)』と、書いてあった。
「出演 たわけ殿…てん、お女中…久美子」
中に入ると、30席が、2席残して満席だった。
檀上には、白塗りのたわけ殿と‘、お女中のが久美子が座っている。
「おい!そこの女中、名をなんと申すか?」
「久美子と申しまする・・・」
「歳はいくつじゃ?」
「18で、ございまする・・・」
「ジャジャン!!」 と音がなり、眉間にしわを寄せてたわけ殿が立ち上がる。
「どぅ見ても妖怪、砂かけ婆だろう~!化粧でシミはかくせても、目尻の小じわはかくせねぇぜ~」
劇場に笑い声が「ぎゃはははは!」響く。
岡江戸は、持っていたザルからたわけ殿の顔に灰色の粉を投げつけた。
「ぐわぁ、はぁはぁ~へっくしょん へっくしょん・・・な・・・なんだぁ~これは」
「砂ではなく、コショウでございまする~」
爆笑「ぎゃはははは!」
劇場からは笑い声が響き渡っていた。
その後も、二人の絶妙なコントが続き劇場は爆笑の渦に包まれた!
「うわっっはは! 笑いすぎてお腹が痛い」
あるよと翔太は、笑劇場を出て妖怪園に行った。
サルボボっちのボボちゃんを抱いた てん園長が来て、妖怪園を案内してくれた。
牛の顔に馬の身体の、妖牛馬。
パンダ模様のコアラ、妖コワパンダ。
亀の甲羅、中はウサギ、妖ウサカメダ。
「変わった、妖怪動物がたくさんいる!」
「なにか 妖怪ぃ~ん」
「うわっ!何・・・手と足が入れ替わってる」
あっ変な、おじさん「ぎゃはははは!」
「なんだか ワクワクするね!」
「楽しんでもらって よかったわいなぁ~。これから、いろんな試練が、あるけんど楽しいことも いっぱいあるからよ〜。とにかく、笑ってろよ。~だいじょうぶだぁ~」
てん園長は、エールを送ってくれた。
満月の夜、あるよの手鏡が光り、翔太は現世界に戻っていった。
生きる希望に満ちた元気はつらつの翔太くん。
看護師の悦子さんは「なにかいいことあった?」と言って微笑んだ。