座敷童子 あるよ
さくら病院の医師、遠山伊吹と看護師の大岡悦子は、以前、【妖次元】《ようじげん》の世界で
回復和尚と修行して病魔退治の認定者となった。
そして、【賞賛】《しょうさん》として、「未来スケッチ」を譲り受けた。
小児病棟にいる、【飛鳥】《あすか》【翔太】《しょうた》(12歳)は、
1か月後に腎臓移植手術を控えている。
腎臓適合者は、母親の飛鳥【綾香】《あやか》
現状では、【人工透析】《じんこうとうせき》か腎臓移植でしか病気の進行を防げない。
母親の綾香は、一生、人工透析治療を繰り返すより、自分の腎臓の片方を息子翔太に提供することを望んだ。
翔太は、3歳で腎臓病を発症。ネフローゼ症候群で3度入退院を繰り返し、今は4度目入院中なのだ。
検査は毎日。食事療法で塩分を控えているし、味覚障害もあって味は全くない。
ホルモン剤の副作用でものすがく体重が増えたせいで背骨を痛めた。【椎間板】《ついかんばん》
ヘルニアも【併発】《へいはつし、立って歩けないので日常は車椅子で生活している。
ネフローゼ症候群とは、腎臓が機能不全を起こし、たんぱく質が尿中に漏出する疾患。血液中のたんぱく質が低下し、全身の浮腫や低アルブミン血症などの症状を引き起こす。
小児病棟は,4人部屋。
糖尿病で治療中の、加藤【満】《みつる》くんは、 いたずら好きの男の子、いつも面白いこと考えている。
糖尿病には、2型糖尿病と1型糖尿病の2種類がある。
1型糖尿病は、免疫系の攻撃膵臓のβ細胞が壊れ、インスリンを分泌できなくなるため、インスリンの注射が必要。
2型糖尿病は、インスリンは分泌するされるものの、細胞がインスリンに反応しなくなり「インスリン抵抗性」に陥った状態。2型糖尿病は生活習慣病で・近年、子供のが増えている。
巨人症で治療中の、【馬場】《ばば》【武】《たけし》くん。
窓辺で『枯れ葉よ~♪枯れ葉よ~♪』と、いつも歌っている。
「下垂体性成長ホルモン分泌亢進症」(通称巨人症)は、成長ホルモンの過剰分泌によって引き起こされる疾患で、身長や手足、顔の骨格が過剰に発達する病気。遺伝的な要素も関与するとされている。成長ホルモンの過剰分泌を抑える治療などを行う。
小児喘息で治療中の、山田【幸子】《さちこ》ちゃん
人と話すのが苦手らしい、いつも一人で本を読んだり書いたりしている。
「主に、気管支喘息 発作性に起こる気道狭窄によって、喘鳴・呼吸延長・呼吸困難を繰り返す」ものです。わかりやすくいうと、風邪を引くなどの様々な刺激が加わることで、空気の通り道である気道が長い期間炎症を繰り返すことで狭くなり呼吸時に「ゼーゼー、ヒューヒュー」といった音が聞こえる【喘鳴】《ぜんめい》や呼吸困難などの発作が生じる病気です。
皆んな、早く良くなって退院したいと思っている。
今は夜中の零時、ここは、さくら病院小児病棟5階。
他の子供はすでに寝ているけれど。僕はなかなか眠れない。
1時間前に、僕の横のベットで寝ている満くんが、発作をおこした。
異常を察知して 緊急ベルを押し、看護師の大岡さんを呼んだ。
大岡さんは、唾液や嘔吐物を喉に詰まらせないために、満くんの身体ごと傾け、あごを伸ばしました。
満くんは、インシスリンの量によっててんかん発作を起こすことがあるのだ。
隣のベットの僕は、緊急ベルを押して、それを知らせる役目になっている。
間もなく満くんの発作が治まった。
「翔太くん、いつもありがとうね」
と言って、大岡さんは、にっこり笑った。
窓から向かいの病棟の1階のが見える。
青白い光を写すカーテンに、不気味な大きな影が動く。そのたびにカーテンが赤く光る。
(とても気味が悪い)
僕は普段、入院中の気晴らしに、担当医の遠山先生からもらった「未来スケッチ」に【座敷童子】《ざしきわらし》や【天狗】《てんぐ》、【河童】《かっぱ》、化け猫の妖怪を書いている。
その時、病室の中に入って来る小動物が見えた。身体は灰色で目が緑、鋭い尻尾が2本、まさしく化け猫!
馬場武くんの上で、生気を吸い取っている。妖怪って本当にいるんだ!
すると、ベットに置いてあった「未来スケッチ」がピカッと光った。
スケッチブックが勝手にパラパラとめくれて、中からオカッパ頭に丸メガネの女の子が現れてた。
そして、「ワルサきたよ」と話しかけてきた。
僕はその子は、座敷童子だとすぐにわかった。
「見つけた!やっと、見つけた!」
座敷童子は嬉しそうに翔太をゆびさした。
「えっ、僕のこと」
「そう、探していたの・・少しだけ待ってね。」
座敷童子は、袋からだした白い粉を、「お清め」と言って、ワルサと呼んだ化け猫に向けて投げつけた。
化け猫は苦しそうに転げまわり、病室から飛び出て行った。
「これで大丈夫、ワルサ出ていったよ、安心して。 翔太くんに、会えて嬉しい!
私は、あるよ。翔太くんと病魔を倒しに行くの。その『未来スケッチ』は、妖次元の扉なの。一緒に来てね、きっといいことあるよ」
あるよはそう言って にっこり笑った。
小児科病棟は、子供たちが入院する病院のうち、専門的に子供たちを治療する施設です。
入院する子供たちは、病気や怪我で苦しんでおり、病棟は治療を通じて彼らの健康を回復するための場所となっています。
病棟内は、白を基調として明るく清潔な空間が広がっています。
子供たちが長期入院するため、小人数部屋を備えているところがおおく、家族や保護者が寝泊りできるようになっています。
また、病棟室内には、病気により動けなくなった子どもたちのために、特殊なベットが置かれています。
病棟内の医師や看護師は、子どもたちの身体的状態だけでなく、彼らの心理状態にも配慮して治療を行います。
また、病棟内には遊べるスペースや教室が設置されているため、子どもたちは自分たちのペースで学びながら、楽しい時間を過ごすことができます。
小児科病棟には、子どもたちが希望するものがたくさん揃っています。
例えば、様々な絵本やおもちゃなど、子どもたちの好みに合わせたものが用意されています。
また、食事も病気によっては制限がありますが、美味しいものを用意して、栄養面も考慮されています。
小児科病棟は、子どもたちの健康を取り戻すための場所であり、彼らの心身の回復に向けて専門的な治療が行なわれています。スタッフの温かい対応や、`子どもたちの好みに合ったサポートにより、入院生活をより快適に過ごせるような配慮がなされています。