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BRAVER-大会編-(前)  作者: Tommy
第3章―翼を持つ男―
25/37

25.悟り

「もう一日経っちゃったわよ」

 シルクは髪をかきながら言った。

「なかなか帰ってこないわね。大丈夫かしら?」

「大丈夫だ」

 レックスはうなずいた。

 資料室で、彼らは『調査』をしていた。

 街を襲った『悪魔』と、レックスが目を付けた『鳥人間』についてだ。

 そしてその『鳥人間』に関する情報が、手に入ろうとしていた。

「奴は必ず帰って来る。あれほどの奴だからな」

 レックスは自信げに言った。

「あれほど?」

「そうだ、昨日の件で確信した」

「昨日の件?」

 シルクには何を言っているのか分からないのだろうか、首をかしげた。


「昨日、シュテンハイムに例の『悪魔が現れた』と通報があった」


「なんですって!?」

 シルクは目を大きく開いた。

「な……なんでそんな大事なこと、すぐに言わないのよ!!」

「言う必要がなかったからだ」

「はぁ?」

「あの時、シュテンハイムに偶然にもブレイバーが1人いたんだ。そのブレイバーが、町民を守ってくれたらしい」

「な、何言ってんのよ、1人で相手が務まるわけが……」

「無論マジョリティの一部の人間には"一応"出動させたが、そのときにはもうカタがついていたんだよ」

「ねぇ、その1人って……」


「そう、あの時あそこにいたのはスタン・ハーライトただ1人。たった1人で奴らを倒したと、通報者は言っていた」


「たった……1人で!?」

 シルクの目は、疑いと驚きで半々だった。

「スタン君……一体あの子は何者なの!? 『心』にも変なところがあるし、悪魔を独り身で倒したって言うし……」

 彼女は腕を組む。

「俺はそこが気になり、あいつの実力を測るべく、森に送った。あそこの森はド素人なら迷うこと必至。死んでもおかしくない」

「……なんでそんな得意げに言うのよ」

「言っただろう、確信があるって」

 レックスは少し笑った。

「でも、それだけで確信を? あんたにしては珍しいわね」

「もちろんひとつだけじゃない」

「もうひとつあるの?」

「実は……お前に言い忘れていたことがあってだな」


 レックスは、悪魔が本部に現れた時、倒したのは自分ではなく、スタン・ハーライトが全てを倒したという事実を伝えた。


「――というわけだ。二件ともあいつ一人でやり遂げたんだ。相当できる」

「……どうして」

「ん?」

「どうして、そんな大事なことすぐ言わなかったの?」

「お前のためだ」

「え?」

「あの時……お前の精神が不安定なときにこんなことを言ったら、何をしでかすか分からないからな」

「そう、なんだ。ごめん」

 シルクはうつむいた。


「だが……」

「なによ、まだ何かあんの?」

「このことは……秘密にしておいたほうがよさそうだ」

「どうして?」

 レックスは眉間にしわを寄せた。

「その……あの時、様子が変だったんだ……」

「様子?」

「そうだ。……なんというか、とても冷ややかな目をしていたんだ。口調も、昨日会った時と違って、何かを知っているような物言いだった……」

「慎重に調べたほうが良いってこと?」

「そう。何か裏にありそうだからな…」

 レックスは腕を組んだ。


「……!」

 レックスは突然、立ち上がった。

「どうしたの、レックス?」


「……近い、近いぞ!もうすぐ来るぞ、奴が!」


「え!?」

「この"流れ"の感じ……そう、風のような無駄のないこの感触……」

「ま、まさか……」


「鳶人……ついに帰ってくるか」

 レックスはにやりとし、剣の柄を持った。


「いくぞシルク、門だ!」

「えぇー、どんだけテンションあがるわけー?」

 レックスは背負ってる物の重さを感じさせない勢いで走った。


「はぁ~あーっ、会いたくないなぁ」

 そう嘆きつつも、シルクはついて行かざるを得なかった。

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