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BRAVER-大会編-(前)  作者: Tommy
第3章―翼を持つ男―
23/37

23.強襲

 僕は急いでいた。


 今日中に、この手紙を届けなくてはならない。


 なぜなら―――


「あーん、暗いよーっ!」


 ここが森の中だからだ。


 邪魔もあったが、なんとか森にたどり着いた僕は、天竜 鳶人さんを探していた。

 しかし時間のみが過ぎてゆき、日は沈みかけていたのだ。

「鳶人さーん、いらっしゃいませんかー」

 僕は声を出して呼びかける。

「お手紙を届けにまいりましたよー」

 自分で叫んでいて、なんだかむなしくなってきた。


 あぁ、早く届けて、さっきの件を本部に報告したいものだ。


 僕がなぜ、すぐに本部に連絡を入れなかったか。それには二つ理由がある。

 まず一つに、「任務優先」だったからだ。

 途中で悪魔が出てきたのは確かに大事な用件だ。しかし、ここで本部に戻ったら、時間がかかる。

 情報は速さが大事。レックスさんが鳶人さんに大事なことを伝えようとしているので、早く届けなくてはいけないんだ。

 僕が一人でなんとかできたので(正確にはジュディさんがいたからだけど)、結果オーライということで。

 もう一つは、「隠密行動を心がける」と言われたからだ。

 もしここで本部に"戻ってきた"ところを他の隊員に見られたら、"僕が何をしていたのか"を必ず問われる。

 こんな時期に、入ったばかりの新人が、外をうろついているのだからね。


 あと一つは……『変な感じがした』からだ。


 悪魔。僕が一人で、なんとか倒した悪魔たち。

 僕はその奴らに、"物足りなさ"を感じた。


 非常に弱かったのだ。


 こう言うのもなんだが、あれは明らかにおかしい。さっきは喜んでいたけど、よくよく考えてみたら、変なことがいっぱいだ。

 だって、あいつらに、ただ熱を与えただけで、あそこまで怯むとは思えない。

 数日前、『炎天砲』ですら、まったく応えてなかったんだぞ?僕みたいな奴の攻撃が、そうそう通るとは……

 あ、ひょっとして……悪魔たちの勢力に、個々の実力差があるとしたら……


 まだ……まだ"上"がいるのか?

 もっと大きな、大きな存在が、上にいるのか!?


 僕は自分の"もしかして"におびえた。

 そうだ、やっぱりおかしい。何か、何かがあるに違いない!

 そもそも奴らの"目的"は何だ? なぜ僕たちを殺そうとする? なぜシュテンハイムを…

 国際警察の持つ情報はどのくらいなんだ? 刑務所の事件とは関係あるのか?


 やはり一度本部に戻って調べたほうが――――


「うっ!」


 突然、僕を頭痛が襲った。


「はぁ、はぁ……」

 息が荒くなっていた。そして唐突に、くらっ、とした感覚に襲われた。


 前が、見えない――意識が、遠のいていく――――


 疲れが、溜まっていたのだろうか。


 無理しすぎたようだ。やはり一度本部に戻るのが正解だったのかな――


 そう思ったときにはもう、どさっ、と倒れていた。


 僕が最後に味わったのは、冷たい土の感触であった。

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