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第六話

今回で咲姫視点は終わりよ

 side咲姫


「また私の勝ちですね~、久々のログインだったんですよ私?」

「……うるさい」


 勝負が終わって思わず出てきたのは挑発ともとれる言葉でした。こんなこと他の人には言いませんがネット上とはいえ結構な時間を過ごしてきたひとほしさんだからこそ言えることともいえます。


「これで私の勝利数が丁度400勝ですね~」

「やめろ、戦績を見せつけてくるな!」


 調子に乗って座り込んでるひとほしさんの前に400勝150敗と書かれた私の戦績表を見せつけるようにしてしまいます。


「ていうか何で久々なのに相変わらずの強さなんだ……」

「いや~私がログインしてなかったのって試験勉強だったからなんですけど実技の訓練ってこっちでも活かせるので。むしろ前より強くなったかも?」


 これは本当のことで学園の入学試験には実技試験と筆記試験がありその実技試験の訓練のためリアルでもゲームと同じような短剣を使っていたのでむしろなれたといっても過言ではないでしょう。


「そうなのか……ていうかそんなこと私に行ってもいいのか?」

「いいですよ別に、年齢についてはもう言ってたじゃないですか」

「それはそうだが……」

「というか女子がみんな学園を目指すのは同じ()()の【ひとほし】さんならわかるでしょう?」

「……まぁ」


 というか結構前から思ってましたけど多分ひとほしさんは男性ですよね。時より男性らしいしぐさをするし興奮すると俺って一人称が出てくるし。それが私を緊張させてる理由の一つだったり。


 まあひとほしさんが女性としてふるまう理由はだいぶ理解できますけどね。やっぱりネットとはいえ粘着されるのは嫌なんでしょう。……私はそんなんじゃありませんよ。


「というかひとほしさんも東京都立学園ですか?あっちなみに私はそこに入学しました」

「……そうだよ、私も東京都立学園の生徒だよ」

「へぇ~、もしかして恋人がいたりして……?」

「いや、いないぞ。何なら別に作らなくてもいいかと思ってるくらいだし」

「そうなんですね……」


 やった!これで私が聞きたいことも聞くことができました。となると……。


「……!決めました!ひとほしさん!」

「おおぅ……何を?」


 考えて俯いていた顔を一気に上げたせいか、やや驚いた表情を浮かべたひとほしさんに私は言い切りました。


「私とゲームをしましょう!」


 私の言葉を聞いて一瞬考えるような表情を浮かべたのち


「VRMMOに飽きたのか?じゃあFPSでもやる?」

「それも魅力的ですが……違います!」


 全く違う風に解釈されてしまいました。いやそれも大変魅力的なんですが……最近はゲームできてなかったので久しぶりに二人でドン勝を食べたいです。


「私が言ってるのはリアルでゲームをしようってことです!」

「……オフ会ってこと?」


 ……また違う風にとらえて……でもやっぱり自分の説明不足が原因ですね。というかオフ会とか確かに一緒の学園だから簡単そうですけどそんなこと急に言わないでください。男性ならもっとこう……警戒心を持って!


「違いますぅ!そんなのではなく……そうです!先にリアルで見つけた方が勝ちゲームです!」

「ん?どういうことだ」

「ひとほしさんも私も東京都立学園に入学していますよね?」

「そうだな」

「ですので!ルールは簡単。私はひとほしさんをひとほしさんは私を、リアルで先に見つけた方が勝ち。さらに勝者は敗者に無理の無い範囲でお願いができるっていうのはどうです?あっ、見つけられたら素直に認めてくださいね、誤魔化すのはルール違反です」


 ……勢いに任せて思わずずっと考えてたことを言ってしまいました。ひかれてないですね?でも実際私に目的があるとはいえそれを通すには決闘よりこっちの方が勝率が高いですからね。


「……」

「あれれ?黙っちゃって、もしかして負けて何か要求されるのが怖いんですか~?」

「……いや、そういうわけじゃ」


 沈黙されたので思わず煽っちゃいましたけどしょうがないですよね?これが私の照れ隠しなんです……ひとほしさん。


「じゃあいいですよね!」

「……いいだろう、でも私もやるからには本気でやらせてもらうぞ」

「いいですよ、私負けるつもりなんてさらさらありませんし。今のうちに私のお願いを聞く用意をしといてくださいねっ♪」


 ふふっ、やりました。これで私は先輩と……でも本当に女性だったらどうしましょうか……。いや、私は自分を信じます。

 結局その日はお互いに自然と解散という流れになりました。明日が楽しみですね、もし本当に男性だったならもう私の勝ちは決定しています。一日目で決着をつけてあげましょう。




「おはようございます桃華さんちょっといいですか?」

「おはよう咲姫ちゃんいいよ何か用?」


 翌日私は勝利のために友達である桃華さんに話しかけました。


「えぇ、ちょっと頼みたいことがあるのですが」

「おっ、早速?いいよすぐに答えられるかどうかはわからないけどね」

「では……この学園の一つ上の先輩でいまだに恋人がいない男性って知ってますか?」


 この質問の答えが分かるのなら私の勝ちは決定。逆にわからないのなら私とひとほしさんの勝負はかなりの長丁場となってしまうでしょう。


「おっ、咲姫ちゃんって年上好き?」

「一概にそうとは言い切れませんが」

「まあいいや、それで恋人がいないこの学園の男性の先輩だっけ?そのくらいならわかるよ」

「……!本当ですか!」

「ほっほんとほんと」


 思わず机に身を乗り出したせいで驚かせてしまったようですがこれで私の勝利が確実なものへと近づいて行きました。


「えーっとその恋人がいない先輩っていうのがなんと珍しいことに二人いてね、まあ実質一人なんだけど」

「どういうことですか?」


 今の説明ではいまいち理解できなかったため聞き返します。そもそも桃華さんの言う通り一年間たっているのに恋人がいない男性も珍しいんですが。


「それは今から言うんだけど一人目が早瀬翔さんっていう人なんだけどこの人は実質恋人って言われる南香織さんがいるの」

「実質恋人?何なんですかそれ?」

「二人ともよく一緒にいるし下手したらそこらのカップルよりも仲がいいくらいなんだけど南先輩が早瀬先輩に決闘で勝つまでは付き合わないって言ったらしいんだよね。それで一度も勝てずに一年たったってわけ」

「へぇ~、男性で勝ち続けるっていうのはかなり珍しいですね」


 一般的に男性は女性よりも弱いと言われている。そんな中一人だけとはいえ勝ち続けられるのはすごいことなんでしょう。そもそも女性の方が付き合おうという気持ちが強くそれだけ鍛えるっていうのもあるんでしょうが。


「で、もう一人の先輩が立川一星さんって人なんだけど……この人はすごいね。この一年間月一の決闘だけこなすんじゃなくて挑まれた決闘は全て受けてその上で全部に勝利したんだって」

「えっ!その先輩凄いですね」


 流石に一学年の生徒の中にはかなりの実力の人もそれなりにいるでしょうにそんな中すべてに勝てるなんてすごい以外に言いようがありません。ただその先輩がひとほしさんだとしたら納得できる自分もいます。VRゲームセンスもかなりいいですしあの動きができるならそこらの人なら勝てるでしょう。


「恋人がいない先輩ってなるとこの二人だけだね。後今名前を出した三人は仲がいいらしいよ」

「そうですか、ありがとうございます」


 貴重な情報を聞いた後は普通に授業を受けた。




「あれ?あの人って……」

「ん?……あぁあの人が今朝名前を出した早瀬先輩だよ」

「へぇ」

「でも何であんな所にいるんだろう」


 何故か雰囲気の違う男の人が何故かスマホをいじっているので意識にとまると桃華さんが答えてくれました。

 なるほどあの人が早瀬先輩ですか、桃華さんはあの先輩がなぜここにきているのかわかっていないようですがもしあの先輩がひとほしさんなら同じ学園の一つ下というヒントをもとにここにきていても不思議はない。

 でもあのひとほしさんがそんなことをするとは考えにくいですね、あれでも多少は頭を回ると思うのであれは罠でしょう。となるとあの先輩は誰かに指示されてやった……となると仲のいい人物、さらに恋人のいない男の人となると……。


「ふふっ、やっぱり私の勝ちですね。ひとほしさん」




 放課後、私は桃華さんにお願いしてついてきてもらい今朝話題に上がった三人グループの追跡を始めました。目的はもちろんゲームの勝利宣言をするためです。


「ねぇ、いつまで待つの?」

「先輩たちがで出てくるまでです」

「えぇ~」


 ファミレスから先輩たちが出てくるのを待っているとしばらくたってようやく色口から出てきました。


「出てきました!それじゃあ桃華さんお願いします!」

「えぇ、すごい緊張するんだけど……」

「大丈夫です!自信をもって!」

「うぅ……なんかおごってよね」


 そう言うと桃華さんは出てきたばかりの三人の先輩たちの方へ向かって行きました。これは私がお願いしたことでもあります。


「すいません……」

「ん?何だ?」


 私のお願い通り桃華さんは()()先輩も声をかけてくれました。


「あの……あなたがひとほしさんですか?」

「……何の話だ?」

「えっ……」


 こういえば立川先輩がひとほしさんならきっと私を罠に嵌めたと思ってここでゲームの勝利を宣言してくるでしょう。何も言わずに巻き込んでしまった桃華さんには申し訳ないですが後でご飯やジュースくらいならおごりますのでなにとぞ。


「なあちょっといいか?」


 来た!桃華さんに向かって立川先輩が話しかけたのだ。


「はい?」

「君がにしみゃさんか?」


 勝った!よし深呼吸を……


「え?違いますよ」

「な……!?」


 ふふっ、私は驚いてる立川先輩……いえ、ひとほしさんの後ろに気づかれないようにゆっくりと音を立てずに忍び寄りポンとその肩に手を置きました。


「ん?」


 そうこちらを振り向いてきたその顔に――――


「見つけましたよ【ひとほし】さん♪」


 こちらの緊張が見抜かれないように飛び切りの笑顔をぶつけて勝利宣言をしてあげました。

今後も書くかはわかんにゃい

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